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転生した元社畜男子は聖女になって人生逃げ切る事を諦めません!  作者: hazuki.mikado
四章. 転生聖女と冒険者ミハイル
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皇女の簀巻き?


 今現在ハイドランジア王国のフリージア城に賓客として滞在しているのは、トリステス帝国の皇太子カイル皇子とその妹であるロザリア皇女。そしてその護衛達である。



「ロザリアは帰る準備は終わったかい?」


「いえ。残念ながら、未だに終わりません皇太子殿下」



 ロザリアの家庭教師兼護衛兼侍女であるリンダが表情筋を全く動かさないまま、皇太子に向かってへろっと答えた。



「トリステスに帰ると、向こう三年は確実にお菓子が禁止されるくらいならフリージア城に住むと飽くなき抵抗を繰り返しております」



 腰から下を全く動かさずに上半身だけで優雅にお辞儀をするリンダ。



「今度はそうきたか・・・」



 額を押さえて呻く皇太子カイル。



「このまま不法占拠とかでハイドランジアの牢屋にぶち込まれませんかね。そしたら直ぐ帰れますよね」



 白い髪の護衛が物騒な事を宣う(のたまう)。その赤い目は実に面白そうに細い弓なりになっている。



「いやいやいや、ダメだろう。いくら何でも他国の王族を牢屋には入れられんだろう。ていうかそんな事言ってないで、帰るように説得してくれ!」


「え~。だって俺が近寄ったら噛み付いてきますよ姫」


「え、噛むの?」


「なんつーか、言葉もすげーですけど物理で。ぶん殴っていいすか? それなら簀巻きにして国に持って帰れるんで」


「お前、このあいだからロザリアに関してはエラくシュールになったな」



 眉根を寄せるカイル皇子。



「あー、面倒くさいだけのお子ちゃまにランクダウンしたからでしょう。#主__おも__#に俺の中でだけですが」



 肩を竦める護衛騎士ディーン。



「リンダ、後宮からコッチに連れて来れるか? 俺達男は後宮には入れないからな」


「少々手荒になって宜しいのなら善処致しますが?」



 眼鏡をクイッと指で上げながら答える家庭教師を見ながら額を抑える皇子。



「全くお前達姉弟は・・・ 分かった許可する。兎に角ここへ連れて来てくれ」



 一番頭が痛いのは護衛にこんな苦言を言わすことの出来てしまう自分の妹なのであるが・・・ 思わず天を仰いでしまうカイル皇太子である。



××××××××××



「お呼びですの? カイルお兄様」



 仏頂面でやって来たロザリア皇女。リンダがどうやって引っ張ってきたのか分からないがひとまず外傷はなさそうだなと頭の上から足先までを思わず確認してしまう。



「呼んだ。国に帰る準備を邪魔しているらしいが、どうしてかな?」



 白々しいとは思うが一応本人の口から何が出てくるのかを確認したい。



「だって、帰ったら向こう三年、甘味の禁止だって言われました!」


「おい、本当にそれが理由か?」



 突然膨れっ面になる皇女。



「勿論、それだけじゃないです。今回は一度もミゲル様にお会い出来てません!」


「会えるわけなかろう・・・」



 頭が痛い。



「二国間の協議でお前はミゲル殿下に近寄れない事が決定している」


「知ってます! 近寄らなければいいんでしょう?」


「それだけじゃないぞ。呪いの手紙も呪いのかかったプレゼントも絶対に送れないし、彼の半径一キロメートル以内に侵入も不可だ」


「呪いって何よ? そんな事、してないモン!」


「自分の髪の毛や爪の入った呪術師の作ったぬいぐるみとか」


「・・・」


「私と、貴方は結ばれる運命だとか結婚相手として選んでくれてありがとうだとかいう手紙を毎日送り付けたりとか」


「・・・・」


「パーティーの間付きまとい、トイレにまで付いていこうとしたりだとか」


「・・・・・」


「挙句の果てに離宮に忍び込むだけでは飽き足らず、彼の私室に自分の部屋に繋がる魔法陣のトラップを仕掛けるだとか」


「・・・・・・」


「一国の皇女、いや、人としてやっていい事と悪い事の区別も付かんのかと言われそうな事を散々やって彼に拒絶されてるだろうが・・・まさか判っていないとか言わないだろうな?」


「・・・・・・・」


「先に言っておくが、聖王の承認式に出席するのは国のトップ又は後継者とその伴侶若しくは婚約者だ。後許されても宰相もしくは外務大臣クラス。お前はどれにも当てはまっていないから出席は不可だぞ」



 突然ロゼリアの目が倍のサイズに広がった。



「ええぇ~、このまま私と、カイルお兄様で出席したら良いじゃない」


「やっぱりソレが狙いか」



 頼む誰か頭痛薬をくれ。



「お前がどう思っていようと、式典の参加は許可できん。我が国の恥の上塗になりかねん! 出席は皇帝である父と宰相だ! 」


「え~ 遠くから見るだけでしょう? 」



 膨れっ面になるロザリア皇女。



「無理だ。承認式の行われる神殿の聖堂のサイズがどう考えても入り口から壇上まで1キロもないんだ。それなのにお前が参加したら条約違反で我が国が賠償金を出す羽目になる! 」


「そんな~・・・」


「いいか、今日の昼にはこの城を出る様に準備するように。出来てない場合は」


「?」


「簀巻きにして国に着くまで拘束したままの姿で連れ帰る!」


「ひえええ~」



 腕組みをして妹に向いて命令を下すカイルである。



(あるじ)・・・簀巻きって、ソレ俺がやるんですかね?』



 ディーンが遠い目になった。




お読み頂きありがとうございます(_ _)

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