宮田 望美
段々お爺ちゃんが推しになって来た作者w
宮田望美は某大手ゲーム会社のロールプレイングゲーム部門の担当課長だった女性だ。
本人は至って真面目で仕事一筋の人間だったが、部下達はまあまあいい加減な人間の集まり。
特に女子社員は残業を嫌って真面目な連中に押し付けてはちゃっかり定時にあがるという裏ワザを駆使して上手く生きていた。
望美は自分の容貌がかなり派手だったため、周りと同じように見られていたのが実は不満だった。
そんな中、新人として聖慎吾が自分の部下に加わった。
彼は非常に真面目な気持ちの良い青年で、魔女の様な先輩達に良いように使われていても嫌な顔一つせず『仕事ですし。男が、頑張らなくちゃ』が、口癖だった。
毎日顔を合わせるのが楽しみになり、それが恋心に発展するのはすぐの事だったが、聖より4つ年上の彼女は、告白も出来ずに、ただ彼を影から見守ることしかできなかった。
遅くまで頑張る聖を労いつつも、自分自身も遅くまで残業をこなしたりしていたのだが、ある日、アメリカ支社へと出向することになった。ある意味栄転である。
担当部署の抱えていたゲームである『乙花』がヒットし、システムを取り入れた海外版の開発を、という話だった。
一年の出向を終えて日本の本社へと戻った時、聖の死を初めて知る。
死因は過労死。社会問題にもなり、一時期会社も随分叩かれた。
葬式は半年前。
納骨も終わっていたが、会社の不祥事の対応で墓参りにも行くこともできなかった・・・
ある日、会社の帰りにコンビニでカップ酒を購入し、自宅のマンションでしこたま飲んだ。生まれてはじめて一人で日本酒のカップ酒を十個以上一気に飲んで・・・気が付いたら、十六才のミゲルの体の中で目が覚めた。
ベッドで目覚めて横にあった姿見を見たときの衝撃は未だに忘れられない。
ゲーム開発で部下を死なせてしまった呪いかと思って腰を抜かしてしまった程である。
××××××××××
「まあ、そんな訳で、聖君に会えて嬉しい・・・」
「・・・いやあ、宮田課長、照れます。照れますが、今課長って、男なんですよね」
「うん・・・君は美少女になっちゃったんだね」
「「逆なら大歓迎だったのにね・・・」」
お爺ちゃん、もとい大神官様が洞窟の中の大きな岩に腰掛けて、呆れた顔で、ぷふぁ~っと煙管の煙を吐いた。
「まあ、そうガッカリしなさんなって。あんたら二人共中身はどうあれ、見た目は美形揃いなんだからさあ~~ 」
「「はあ・・・」」
「生きてるうちに納得できる生き方を見つけられると思うよー。アタシがそうだったからさあ~~ 」
「因みに大神官様、中身は女性? 」
「アタリ~。でも男性を謳歌しちゃったわよ~! 全然、前世の事なんか気にならなかったわ~。今を楽しもうって思ってさあ。実際アンタ達もその内そういう気になるって。さっきだってあんたらブッチューってキスして、嫌じゃなかったでしょうが? 」
「あれ、そういえばそうっスね」
「あれ、そうですね。夢中でやっちゃいましたねえ」
微妙な顔で見つめ合う二人である。
「まあ、それはそうとさあ、もうちょっと奥まで卵がないか見に行かないとねえ。来た意味がないでしょ? 」
「それもそうですね。行ってみましょう」
立ち上がり、自然とミリアに手を差し出すミゲル。その手に自然と自分の手を重ねるミリア・・・
目を細めてニンマリ笑うお爺ちゃん。
「老後の楽しみが増えちゃったかもねえ・・・」
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