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転生した元社畜男子は聖女になって人生逃げ切る事を諦めません!  作者: hazuki.mikado
四章. 転生聖女と冒険者ミハイル
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串焼き・・・だと

お読み頂きありがとうございます(_ _)



 村人達と冒険者達の協力により、空から降ろされた土は畑へと無事戻され野菜もほぼ回収された。勿論安全を優先という事で降ろされた土は一個ずつ探査魔法で虫が居ないかを魔法使い達が調べていく。


 畑に足を運べなくなっていた村人達は喜々として畑の畝を作り、次の苗や種を植える作業に移行していく。


 穴蜂の死骸は完全な形の物は見つからなかったが、バラけたものが見つかった。


 真っ黒い体に真っ黒な羽根のその昆虫は今迄みたこともない魔獣だ。



「やっぱり蜂っぽいですね」



 若干? 虫オタクっぽいミリアは興味津々である。



「畑が穴ぼこから元に戻れば村民は納得だから良いんだがなあ。この死骸はサンプルでギルドに提出だな」



 ジルが頭をガシガシ掻きながらボヤく。



「ワイバーンは姿を見せねえな」



 見慣れないものが空の上に浮いてたから来ないのでは・・・とミリアは一瞬そう思ったが口には出さず黙っている。


 犯人は自分である・・・



「おーい虫の穴があったぞ~ 」



 村の入口付近で調査していたサム達が戻ってきた。どうやらミリアがこの村に到着した時のワイバーン騒ぎがあった場所に穴があったらしい。



「蜂は? 」


「わからん。穴に探査をかけたが空っぽだ」


「・・・? 」



 首を傾げるミリアンヌ。



「ひょっとしたら、ダミー穴でしょうか・・・」


「何だミリー。ダミーって? 」


「巣穴や卵の孵化室は塞いで見えなくしておいて、近くにいくつかダミーの穴を掘っておく習性がある蜂がいるのでひょっとしたら、それかなと・・・」


「・・・虫オタ・・・いやいいわ」



 ジルが口を慌てて閉じた。



×××××××××



 冒険者全員で村の入口付近で穴周辺を探す。



「土の色が違う場所を探して下さい。塞ぐための土は新しくて柔らかいはずですから」



 ミリアの説明通り土色の違う場所が発見され、中から出てきたのは・・・



「おい、ワイバーンの雛じゃねえかこりゃあ。まいったな~ 」



 孵化して何日かした位のワイバーンの雛がグースカ寝ているのが見つかったのである。


 勿論予想通り寄生されており、直ぐ様ミゲルによって蜂の卵は駆除された。


 のだが・・・



「親が迎えに来ねえとどうにもならん」



 ジルが腕組みをしたまま、ドカンと音をさせ不機嫌な顔で椅子に座り込む。



「肉屋に降ろすサイズでもねえしなあ。だがコイツがここにずっと居ると恐らく親がやって来て騒ぎになる」



 成体の間引きは許可されるが指定のサイズがあり、規定に満たない幼体を売り捌くと犯罪になるので、冒険者達も困ってしまう。



「しょうがねえ、ギルドに申し立てをしてくるか・・・」



 実は冒険者権限でクエスト内容に違反や不備、不正や虚偽がある場合はギルドに申し立てする事ができるようになっている。依頼内容に支払い額が釣り合わない場合の救済措置だ。


 この依頼はワイバーンが村を理由なく襲ってくる事が前提だったがこのままだと『雛を村が拐っていた』事になる。


 そうなると免責は村、ひいては領主の責任でありワイバーンの討伐は不正案件となってしまう。


 ジルは王都のギルドの判断を仰ぐ為に村の役場に出掛けて行った。


役場には緊急用の魔法便が備え付けられておりジルは詳細の報告の為にソレを使う事を決めたようだ。



××××××××××



 一方で残った冒険者とミリア達はギルドからの返事を待つために、出張所の一階に集まっていた。


 ワイバーンの雛も一緒である。


 まだまだ未発達の幼体なのでヨロヨロとギルド出張所の床を羽ばたきながらメルを追いかけ歩き回っている・・・


 人も怖くないようで触っても知らん顔で我が物顔でウロウロする。



「穴蜂にさらわれたんでしょうね。それで親が追いかけてきてたんだ」


「まだ、給餌が必要な個体だからなあ。親の庇護下だろう」


「見ようによっては可愛いわねえ」



 マリンの一言で全員が眉をへの字にして



「言うなよ。串焼きが食えなくなっちまうだろ」



 と誰かが言った。



××××××××××



「メル、お前さっきからワイバーンの雛がついて回ってるがひよっとして言葉が通じてるのか? 」



 ふと、ミゲルが声をかけたが



「いえ。ルーの様に言葉は通じません」



 と返された。因みにルーはミゲルの栗毛の愛馬である。



「意思疎通は、イメージで送ると良いようです。御主人様」



 がくっとテーブルの上で頬杖を付いていた全員がズッコケる。



「メルちゃん、要するにこっちの気持は伝えることが出来るって事? 」


「はい、ミリア殿。吾輩も含めここの方々が襲って来ないという事は理解させました」


『ギャ』



 何故が返事のように短く鳴くワイバーンの雛。そして首を傾げ下から見上げる仕草・・・ぐはっ


 思わず抱き上げ頬でスリスリしてしまうミリアンヌ。



 はっ! しまった!



 極上の美少女が大して可愛くもない魔獣を至福の顔で愛でる姿は、例えるならばキモかわいいブサ猫に天使が祝福を与えている神々しい姿に匹敵する。



「串焼き食べられなくなっちゃったわ・・・」



 マリンが両手で頬を押さえてぷるぷるしながら呻いたのであった・・・




次行くよ、ヨシ(๑•̀ㅂ•́)و✧

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