●女の宅●便再び
お読み頂きありがとうございます(_ _)
その女の子はワイバーンが群れで湧いてる近くで、デカイ猫を連れてボーッと空を見上げていた。
人じゃないみたいに綺麗な子だなと思った。多分貴族だ、あんな色は平民には滅多に出ない。
「なあ? さっきの女の子何処行ったんだ? 」
「さあ。エラく辺鄙な所にお貴族様がなんの用事かねえ」
女といえば、このマリンとお袋位しか俺は知らないから、アンタ呼ばわりは失礼だったかもと、あとで後悔した。
「キレイな子だったじゃないか? お人形みたいでさ。アンタよりは年下だろうねえ」
魔法を使って、ワイバーンにマーキングを入れるマリン。こういう所は素直に凄いと尊敬するが、男の趣味が悪いんだよなあ。
「それよか、畑に行った連中が遅いわね。アタシは探査とかは出来ないから行かなかったけど。どうなってんのかしらね? 」
「ウ~ン、見てくるか? 」
「ジル、どうするよ? 」
「ワイバーンが先だ。全部にマリンがマーキングを済ませたら一回行くか」
「「オッケー」」
まあ、お貴族様とかそうそう何回も遭うもんじゃ無いしな。可愛いモン見られてラッキー位で忘れとくか。
「ちょっとジェーン、あのハエ撃ち落としてよ」
「無理言うなよ、もう」
クロスボウを思い切り引絞り手を離すと、黒い奴が落ちてきたのが見えた。
「やるじゃん。よっしゃ~ 」
「あ、ワイバーンが」
黒い奴が落ちた途端に急上昇していく・・・やっぱりあの黒いのを追いかけてきてたんだ。
「・・・あの虫、落としたら駄目だったのかしらね? 」
俺はしらん。マリンの言う通りにしただけだ・・・
××××××××××
「メルちゃん、あそこあの畑」
「そうですアソコです御主人様の気配です」
ミリアとメルが向かった村の端の畑は、何故か金色に輝いていた。
「この光、きっとミゲル様の神聖魔法だよ」
畑の近く迄近づくと急ブレーキをかけるメル。
「うわ、どうしたの? 急に止まっちゃって」
「ミリア殿。この畑とやらは地面の下が空洞で、足を踏み入れたら落ちる仕掛けです」
「ええ!? 」
金色に輝いている事を除けば普通の畑に見えるのに・・・でもこの畑のどこかにいる筈・・・穴?
「ねえ、ひょっとしたらこの下にいるんじゃないの? ミゲル様」
「吾輩もそう思いました」
「ウ~ン足を踏み入れない方法で畑に入るには・・・あ、アレだわ。メルちゃんちっちゃくなれる? 」
「承知致しました」
シュルシュルと体が小さくなっていくメルヘン。代わりにミリアのロッドが大きくなった。
「じゃ~ん。●女の宅急便! 」
ロッドに跨るミリア。
「ここにメルちゃん乗って」
ロッドの先端をポンポン叩くミリアンヌ。
「はあ」
メルが、ぴょんと示された位置に飛び乗ると
「行くよ~ 」
ロッドに乗ったままふわりと二人は浮き上がる。
「おお。ミリア殿流石ですな」
「へへへ」
猫が黒く無くても完璧! と内心ニマニマしているミリアンヌ侯爵令嬢である。
××××××××××
上空から畑を見ると、金色の光の中心部が怪しいとメルヘンは言う。
「アソコに恐らく御主人様がいらっしゃいます。しかし・・・降りることができません。踏めば恐らく陥没します故」
「うう~ん、どうしようかな」
どう考えても土の中だよねえ。地面に降りられないんなら、上がってきてもらうかー・・・
「じゃあ、地面を上げちゃおう! 」
「へ? 」
メルの瞳孔が開きっぱなしになった。
××××××××××
「おーい、ミハイルもう大丈夫だぞなんか知らんが眠気もないし、脇腹も腫れが引いたぜ」
「鑑定で正常って出たぞ! 」
「・・・分かった」
「良かった良かった。ありがとうな! 虫の餌にならずに済んだ」
半泣きのデカイ男二人に抱きつかれる。
「ぐえ・・・」
初めて神聖魔法の浄化を使った。多分もう大丈夫。鑑定で正常って出たし・・・しかし
「腹減った・・・」
ミリーの事を燃費が悪いって思ってたけど、こりゃあ使いすぎると腹が減るわ・・・
「しっかし、誰も来ねえな」
「外がどうなってるかが分からんからなあ」
「人参でも#齧__かじ__#るか? 」
土だらけの服を寝転がったまま着るミゲル達。
「あ~もう」
変な風にミリアンヌを思い出してモヤモヤして叫ぶミゲル。
「もう三日会ってねえ! 」
「おいおい、どうしたミハイル。ミリーって誰だよ」
「ばーか、コレだよこれ」
小指を立てるサム。
「そうだよ、なんか文句あっか?! 」
そう叫んだ途端、『バコーン』という間の抜けた音がして、天井が揺れ土がパラパラ落ちてきた。
「うわ、どうなってるんだ」
「揺れるぞ。おいおい俺達埋まるんじゃねーよな? 」
『バコーン』何だろうこの音・・・
お察しください・・・(^▽^)