表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生した元社畜男子は聖女になって人生逃げ切る事を諦めません!  作者: hazuki.mikado
三章.転生聖女と春の庭
125/173

三人寄らば

お読み頂きありがとうございます(_ _)


「ねえ? コッチはどう? 」


「コチラのデザインが良いですわ」


「いやーん。この色がいいですわ私! 」



 王妃の部屋でキャピキャピと黄色い声がする。



「え、え~と? 」



 首を傾げるミリアの目の前に、山のように次々と積み上げられてゆくドレスと装飾品の数々。



「コレコレ、このドレスを着てほしかったのよ~ 絶対に可愛いいんだから! 」


 王妃様が取り出したドレスはイブニングドレスである。


 大きくV字に開いたデコルテのシルクテープから、ふんわり優しいオレンジがかったピンク色のベースにアネモネ、撫子、スミレ、マーガレット、矢車草などがプリントされた布地が三段重ねのフリルで襟になっており中心にシルクの薔薇が飾られている。

 肩を包む小さな肘までの袖はオーガンジーの三段重ね。

 ウエストラインは腰の細さを強調するため切り替え線が下に向かって尖り、スカートは襟と同じ生地を使いふわりと三段のティアードで優しく膨らんでいる。

 まさに『妖精姫』にピッタリの可憐なデザインである。



「絶対に似合うと思うのよっ!」



 王妃様が鼻息荒く持ち上げる。



「こんな可愛いの、ワタクシの娘達には着せられなかったのよおおお! 」



 うん。我が国の王女様方は妖艶さがウリのお嬢様達ですしね、と言うに言えないマーサは入口近くに待機したまま、ひっそりと壁に擬態している。



「あら伯母様コレも素敵ですわよ~ 」


「ですわね」



 きゃっきゃと喜びながらエリーナとシンシアが引っ張り出したイブニングドレスは、ツーピースドレス。


 うっすらとゴールドが掛かったような白いシルクタフタに優しい色合いの小花と蔓の刺繍が全体的に細かく施してある。

 襟元はダイヤモンド型でスッキリと仕上げ、袖は半袖でフリンジを施してある。

 ウエストと後ろスカートには楕円形のパネル飾りがありパネルの中心部分に同じ意匠の花のリース模様の刺繍が施されていて、縁取りは袖同様フリンジ装飾がされている。

 なんとも豪華なウェディングドレスの様な一品である。



「いいわよ素敵ね! それは、王宮の縫製班に徹夜で作らせたのよっ! 」



 ソレを聞いて目が点になり王宮の縫製班に想いを寄せて、意識が遠くなったのは仕方ないと思うミリアである。


 靴はアレ、アクセサリーはコレと大はしゃぎの女性たち。



 『ひょっとして着せ替えゴッコの為に呼ばれた? 』



 マーサに向けてアイコンタクトを送ると、こっそりサムズアップしたデキる侍女の姿が目に入り、更に意識が遠くなったミリアンヌであった・・・



××××××××××



「ああ、何て可愛いのかしら」



 マーサと王宮の侍女まで駆り出され、先ずは王妃様チョイスのドレスに着替えさせられる。


 髪型は白い小花飾りがピッタリということでツインテールのまま宝飾品をどちゃどちゃと飾り付け出来上がった姿はまさしく『妖精姫』そのもの。



「はあ~ん。可愛すぎる~ 」



 お着替えスタッフまでウットリしてため息をつきながら顔を赤らめる・・・


 ふんわりと優しげなお花柄が何とも『春の庭』でお茶なんかをしてると、雰囲気がぴったりと合いそうで素敵である。



「ああああぁ~、誰かに見せびらかしたいっ!! 庭に連れて行きたいわっ! 」



 王妃様がご乱心である・・・



「駄目ですわ、お母様、今はガーデンに狼の群れが(たむろ)してるんですから・・・」


「そうです、後でバレて叔父様にキレられたら怖いです! おやめ下さい! 私まだ命が惜しいです! 」



 慌てて止めるシンシア王女と、エリーナ嬢。



「うう。早くミゲルのお嫁になって頂戴ね」



 次は泣き落としか・・・



「あ。あうぅ・・・」



 羞恥で気絶しそうなミリアンヌである。 



「次! 次はワタクシ達の選んだツーピースですわね! 」


「そうですわ! 花嫁衣装みたいな仕上りにしましょう伯母様! 」


「ハッ! そうだわね! あれならウェディングドレスっぽくなるかも! いいわっ次行きましょう! 次っ! 」



 王妃様の号令で、あっという間に、次のドレスの為の下準備に入るスタッフ達。勿論マーサが指揮監督である・・・



「あああぁ・・・・」



 ミリアンヌの試練は続く・・・





文殊の知恵じゃなくて姦しいの方だった・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ