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転生した元社畜男子は聖女になって人生逃げ切る事を諦めません!  作者: hazuki.mikado
三章.転生聖女と春の庭
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ティリア・ティーダー侯爵令嬢

お読み頂きありがとうございます

 

 ティーダー侯爵家。


 王家直轄の土地の直ぐ側に自領を賜り、王家のお膝元とも言える場所に居を構える侯爵家である。


 王都周りの食料庫とも言える広大な農地と畜産業。そして遠く海まで管轄地を持つため海外に向け貿易も手掛けている穏健派筆頭である。


 現在の当主であるティリアの父親は、政務にも外務大臣として席を置き外交に置いても実直な性格が反映されるためか外国の要人からも信頼を得ている人格者である。


 まあ要するに経済支援的にも外交にも、なんでも屋的に便利な御方である。


 侯爵家筆頭は古くから続くアークライド家ではあるものの実質ナンバー2の資産と実力を持つ大貴族。



 アークライドは遠くは王族からの降嫁等もされている為か、血族的に魔力が強い家系のため軍事的に参戦せざるを得ない過去を持つ、どちらかというと武闘派である。

 最も今はここ百年程平和な治世となった為随分武闘派としての頭角は鳴りをひそめている。

 その代わりアークライドは国内の発展のため力を注ぎ資産的に王家を凌ぐ程に急成長した(主にミリアのせいで)。


 国力の偏りを嫌う貴族達の思惑と、アークライド家当主の辞退によって婚約者候補筆頭となったのがティリア・ティーダー嬢である。



××××××××××



「どれもこれも上手く行きませんでしたわ」



 自室で一人呟くのは百合の花を思わせるような清廉(せいれん)(たたず)まいのティリア嬢である。



「婚約者筆頭などというバカバカしい制度でもない様な慣習に囚われるなど。貴族院は何故ああまで古臭いモノを望むのかしら・・・」



 ため息を付きながら鏡を見つめるその姿はいつものツインドリルに派手な化粧ではなく、素直に卸した豊かな金の髪と化粧っ気の全く無い美少女である。



「もう、このままお嫁に行くしかないのかしら・・・」



 実は学園でのミリアンヌの噂の元は、このティリア嬢が流したものである。



「無駄な抵抗だったのね」



 学園の噂は取り巻きの令嬢達をそれとなく(そそのか)し流させた。


 時期聖女と噂される少女で筆頭侯爵家という高い家格。誰もが姿を見たこともないと言われながらも父親である侯爵は社交界きっての貴公子。母親は過去社交界の薔薇と呼ばれる程の美貌を持つといわる美女。


 期待と憶測と羨望と嫉妬。


 貴族子女に有りがちな心の隙間に情報を注げばあっという間に殿下とのファーストダンスや、婚約等という根も葉もない噂は拡大した。


 出来れば嘘から出た真となって欲しかった。


 しかし、脆くも崩れさる。所詮は噂である。


 それもこれも王弟殿下と常に行動するアークライド侯爵令嬢。


 王家に対して全く揺がない態度を取り続けるアークライド侯爵家当主。


 動く気配すらない貴族院。


 優柔不断の権化のような王子←


 武装でもあった、髪型もモース侯爵子息が崩してしまいティリアの美貌がバレてしまった・・・・


 あの後教室に帰ると自分を見る男子学生達の見る目が明らかに熱っぽく変化したのをヒシヒシと感じたティリアである。



「折角の武装を解除されてしまった・・・たったあれだけ。髪型程度で見る目が変わるとは思わなかったわ」



 乳母と考え出した王子に気づかせないための美貌を覆い隠す程の強烈なツインテール。



「今回のお茶会では王子殿下に正直な意見をしてもお咎めなしと言うことだけれど・・・」



 寧ろそれが王子妃の器かどうかの評価となる事は一目瞭然である。



「いいわ。正直にお話をさせてもらいましょう・・・」



 大きなドレッサー前に備えてあるベルを鳴らして侍女を呼ぶ。



「明日の準備をするわ」



 部屋に訪れたティリア付きの侍女とメイドにそう言うとクローゼットに向かう。



 彼女の出席は最終日である。



武装じゃなくて変装・・・

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