思い出す
宜しくお願いします!笑顔で読んで貰えると幸いです!
ある日突然、ミリアは前世を思い出した。
『しまった。やべえ俺、聖女じゃんw』
まだまだ赤ん坊の時だったので、ホッとするミリアである。
これなら自分で人生設計が出来るはずだ。
因みに何故気がついたかというと、離乳食を食べさせてくれている侍女の横で、それを見ては喜ぶ母親の顔をじっと見ていてからだった。
『うわーやべえ、めっちゃ美人だわ。でも俺この顔見た事あるよなあ?・・・ オレ?! 』
ジッと自分の手を見ると小さい? え。何でこんなにちっさいの?
その夜、小さなミリアは発熱した。
所謂「突発性発疹」というやつだ。
医者は普通に赤ん坊に良くある事なので、水分を与えてよく冷やすよう言って、熱が下がった後の沐浴用のポーションを両親に渡して帰っていった。
『他人事だと思って、アッサリ帰りやがって! 全くもう~』
ミリアは初めての体験に取り乱し泣いていた母親に、熱のある手でヨシヨシをしてあげる。
それを見た父親が
「キャサリン、君、熱のあるミリアに慰められてるよ・・・」
「ホントだわ・・・」
『ったりめーだ、オヤジ。しっかり自分のオンナを労れよな。俺にやらせんな!』
父親を見る目つきは三白眼だ。
「ミリアが不機嫌だな~ そうパパを睨んじゃだめだよ~」
××××××××××
ミリアの前世はゲーム会社の社畜であった。
担当部署は開発部・・・ 故に母親の顔を見て、瓜二つであろう自分のことに気がついたのである。
珍しいストロベリーブロンドに、濃い紫の瞳で名前はミリアンヌ。
神童と言われ続けて、最終的に大聖女になり魔王の魔の手から世界を救うのである。
『うええー面倒くせえ! 何だってこんな面倒くさい転生したよ俺?』
しかも前世は男。
顔の造作はどうあれ、侠気のあるオトコマエの男であった。
女は男が守るものであるーーそれがモットーだ。
まあ、そのせいでゲーム開発部署の女性職員に弄られたし、残業も押し付けられて敢え無くポックリあの世に行った。
合掌。
『うーん、どうすっかな。女に生まれちまったしなあ~ 王子とか、皇子とか居たなあ~、騎士団長の息子、宰相の息子、魔道士長の息子、王弟、隠しキャラで魔王だっけか。後は、悪役令嬢がいっぱい・・・』
赤ん坊の時の熱など、割と身体に負担にならないので、水分補給をされながら考えるミリアである。
『第一、俺の意識が男前過ぎる。男を好きになれるとは思えんな~・・・ うえっ』
想像して思わず気持ち悪くなった。
「ミリアちゃんがビクビクしてる! どうしましょう~」
ううう、と泣きそうになっている母親を気遣って、頭を撫でるミリア。
前途多難な気がするのは気の所為だと思いたい。
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