表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

第2話 王太子殿下の所業

 いけない。いけない。

 何の為の淑女教育、何の為の王妃教育。

 冷静に冷静に。


「さようでございますか。わたくしとの婚約はイヤでは無いから破棄をしないと、そうおっしゃるのですね。サイラス殿下は」

 ダメだ。怒り心頭で、声まで震えている。だいたい私はちゃんと笑えているのだろうか。


「そうだよ。よく分かっているじゃないか、クリスティーヌ」

「では、なぜ。そちらの令嬢とお茶をしていらっしゃるのでしょうか」

 私がそう問いかけると、サイラス殿下はきょとんとした顔をして見せた。

「なぜって……。誘われたから?」

 今度はキャロライン様が、え? って顔をしている。

「殿下? わたくしとお茶を……と誘って下さったのは、殿下ではないですか」

 焦ったように、キャロライン様がサイラス殿下に確認をしている。

 キャロライン様の言い分ももっともだと思う。伯爵令嬢が王太子殿下を誘って、自分の屋敷ならまだしも、王宮でお茶会を主催なんて出来るはずが無い。

 準王族の公爵令嬢じゃあるまいし。


「あれ? この前の夜会で、私にすり寄って来て、いつまでも私のそばにいたいって言わなかったっけ?」

 あの時にそう言ったのは君だよねって顔してるよ、サイラス殿下。

 サロン付きの侍女たちは、蔑んだような目でキャロライン様を見ているし。

 当のキャロライン様は、あまりの事に口をパクパクさせていた。


 本当にね。こういう奴なのよ、こいつは。

 あら。わたくしとしたことが、口が悪い事。

 って、口には出して無いけど……。


「サイラス殿下は、お忘れかもしれませんが。我が国では、国王であっても複数の妃を持つことは許されておりませんのよ」

 今のやり取りで少し冷静になれた。

「知っているよ。帝王学の授業に、我が国の法律も入っているからね」

 ちゃんと勉強しているからねとばかりに、胸を張るのはやめて欲しい。

 子どもか、お前は。


 キャロラインの方を見ると、開いた口がまだふさがってない。

 なんだか、気の毒だからもう一つ情報を渡そうかな?


「そういえば、先日。サイラス殿下の寝室から、ジョネフ子爵令嬢の……何でしたっけ、お名前」

「ああ。レティ?」

「そう。その方が、出てきたようでしたが」

「積極的だよね。なんだかんだで、気が付いたら寝室まで連れて行かれちゃって」


 連れて行かれちゃって……、じゃ無いだろう。

 何ヘラヘラ笑っているんだ。このクズ()


 もう、淑女教育どこに行ったって感じなんですけどね。私の脳内。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ