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第1話 婚約破棄をしてくださいませ

よろしくお願いします。

「サイラス王太子殿下。わたくしとの婚約を破棄してくださいませ」

 ここは、王宮内にあるサロン。

 サイラス殿下は、伯爵令嬢のキャロライン様と一緒に、ティータイムを楽しんでいるようだった。


「クリスティーヌ。今日も美しいね。どうしてそんな事を言うんだい?」

 にこやかにそう言いながらサイラス殿下は、私の所までやって来た。

 金髪碧眼、その美しい顔。

 長身でスタイルも良く。女性で無くても誰しもが、見惚れてしまう。

「さぁ、こちらに来て君も一緒にお茶を楽しもう」

 傍に控えていた侍女に、目配せをして私の席とお茶を用意してもらっていた。

 質問をしながら、答えを聞く気が無い態度は王族らしい(?)けど。


 先ほどまでにこやかにサイラス殿下とお茶会を楽しんでいたキャロライン様は私の方を、物凄い顔でにらんでいる。

「キャロライン嬢? 私の婚約者も仲間に入れても良いかな?」

 自分の席に戻って来たサイラス殿下に、微笑まれ

「もちろんですわ」

 頬を染めて、キャロライン様はそう返事をしていた。


 何これ? すごいわね、一瞬で修羅の形相から天使の笑顔に変わるなんて……。

 今度、表情の動かし方を教えて欲しいわ。


 彼女は知っているのかしら。サイラス殿下がこんな風にしているのが自分だけじゃ無いって……。 


「どうしたの? そんなところに突っ立って……」

 私はサロンの入り口に突っ立ったままだ。

 そちらに行って欲しいのなら、先ほど私のそばに来た時、なんでエスコートしない。

 ……じゃなくて、そんな事どうでも良いのよ。一緒にお茶を飲む気なんて無いから。

「先ほどの、返事を頂いてません」

 そう私が言うと、サイラス殿下はう~んと考えるふりをして

「婚約を破棄する……だっけ? どうして? 私は別にイヤじゃないから理由がないのだけど」

 そう言った。

 ……そう。あっ、そうっ。

 私はすごく。ものすご~く、イヤなんですけど。

 

 何のために幼少期から、淑女教育やその上の王妃教育をして来たと思っているのっ。

 全て、あんたのっ。


 全身が怒りで震える。

 きっと私の顔は、笑顔を作ったまま赤くなっているわ。

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