表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/98

第3部 14話 ゲームマスターと密談

2021/05/28 改稿

◆ニューズ・オンライン シーツー 二合目 ギルドハウス”緋龍巣”◆



 シーツーからアンデルは去ったものの、緋龍の翼のギルドメンバーのザワつき具合は収まらなかった。皆、口々に不安や不満を口にしていた。


『GMが勝手に緋龍の翼を危機に追い込んだ』

『あんな脅しは突っぱねてシキゾフレニアを掃討すれば良かった』

『シーツーがシキゾフレニアに奪われたらどうなるんだ?』


 ヤジマとしては何とかシーツーを救いたい一心で行った行動だったので、悔いはなかったものの、戦犯を見るような皆の視線が痛かった。


 そんな中、ヤジマはヒイロに連れられて、カンナバル、カスミと共に、緋龍巣の奥にある客間へ通された。


 客間には誰もおらず、ヒイロがヤジマたちへソファーを勧める。ヤジマは張り詰めていた緊張の糸が解け、フカフカとしたソファーへとへたり込んだ。


 そんなヤジマの前に仁王立ちしたカスミが眉をひそめて不満を口にする。


「おいおい! また勝手なことやってくれたな、ヤジマ! シーツーを危険な目にさらさなきゃいけなくなっちまったじゃねーか!」

「ははは……。急にこの場で重要な判断するのは危険な気がしてね……。悪かったよ」


 ヤジマはカスミに乾いた笑いを向けた。そんなヤジマに向かってヒイロが突然頭を下げた。


「いや、むしろシーツーは救われたかもしれません。ヤジマさん、ありがとうございました」


 カンナバルはヒイロの言葉に静かに相づちを打った。


「私もヤジマさんの対応は正解だと思います。あのアンデルという男からは違和感を感じずにはいられませんでした」

「カンナバルさんもそう思いましたか?」

「はい。アンデルの”街を壊すぞ”という脅し文句は、生産系スキルのバグによって街が直せない今このタイミングだからこそ有効です。これは出来過ぎ(・・・・)ています」


 ヒイロとカンナバル、そしてヤジマが深刻な面持ちでお互いの顔を見つめる。そんな三人の様子を見回しながら、カスミは頭を抱えている。


「な、なんだよ、さっきからカンナバルさんまで!? 私だけのけ者かよ!?」


 カンナバルが少し表情を崩し、カスミを(なだ)めるようにして話す。


「ヒイロさんがここに私たち三人だけを招いた理由を考えると、なんとなくわかりますよ。ですよね、ヒイロさん?」

「カンナバルさんの言う通りです。私は緋龍の翼のギルドメンバーの中にシキゾフレニアの内通者がいるのではと推測しています」

「な、なんだと!?」


 カスミが大声を出すので、ヒイロが口に人差し指を当てて、静かにするように促す。


「あくまでも推測です。しかし、アンデルが先程、緋龍巣で議論した内容を聞いていたと考えると辻褄(つじつま)が合うんです。これまでも、ゾンビがあまりにもシーツーの急所を狙うので、その可能性を疑ったことがありました。仲間を疑うのは非常に残念なことですが……」

「だから部外者の私たちだけをここに呼んだのか……」


 カスミがやっと納得したようで何度も(うなず)いた。


「ギルド戦争の提案に乗ってきたのも、おそらくその内通者のせいでしょう。緋龍の翼の手の内をあらかじめ把握して、ギルド戦争に挑むのだと思います」

「そうだよな……。緋龍の翼相手に”集団戦”を仕掛けてくるなんて無謀にもほどがあるぞ……」


 カスミが吐き捨てるように言った。カスミの言うように、シキゾフレニアはギルド戦争の勝負方法として”集団戦”を提案してきた。普通に考えれば、トップギルドである緋龍の翼との戦闘など極力回避したい勝負方法だろう。しかし、ヒイロは「いや――」と首を横に振る。


「そうでもありません。シキゾフレニアには集団戦にて完璧な連携をやってのける”ゾンビ”がいます。個々の技量は緋龍の翼が一番だとは思っていますが、彼らの集団戦術は緋龍の翼にも劣らないでしょう」

「だからこそ、緋龍の翼は勝負方法として”決闘”を選択したんですね」

「その通りです。私自ら言うのもなんですが、私が正面から武力でぶつかれば、誰が出てこようと負けることはないと考えています。”決闘”で手堅く一勝を取りに行きたいと思います」

「では、残るは最後の一勝負ですが……」


 カンナバルの目配せに呼応してヤジマは話始める。


「最後の一勝負については、公平性を期して運営側で検討して前日に通知するようにします」

「なんだよー! ヤジマのくせに勿体ぶるなよ! 教えてく・れ・よ(ハート)」


 カスミがヤジマにすり寄り、ヤジマの片腕を抱く。ハニートラップならぬ、ハニーディザースターが炸裂(さくれつ)した。


「運営側は公平性を保たないとダメなの!」


 ヤジマは腕に(まと)わりつくカスミを何とか振りほどこうとする。


「何だよー! ケチッ!」


 ヤジマの言葉にカスミが(ふく)れっ面になる。そんなヤジマとカスミのやり取りを見たヒイロがクスリと笑う。


「シキゾフレニアが不正を言い訳にして、ギルド戦争をなかったことにすると言い出しても困るので、今聞かないほうが良いです。ヤジマさん、最後の一勝負の方法については後日お知らせください。それにしても、二人は仲がいいですね」

「「どこが!?」」


 ヤジマとカスミの怒鳴り声が仲良く重なった。

ここまで読了いただき、ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ