閑話 黒田の計画
「どうだった?」
真実は朝帰ってきた晶に問いかけた。
「く、く、黒田さん、私……」
顔面蒼白の晶が真実に寄りかかる。
「長谷部さん、大丈夫か!?」
細縁眼鏡が晶のそばに駆け寄った。
「私、領主に……」
晶は、途切れ途切れに話した。
端的に言ってしまえば、彼女は領主に犯されたのだった。
「……それは許せねえ」
男子の一人が言う。
「そうだそうだ」
オタクもそれに続いた。
「待って」
しかしそこに、真実が声を上げた。
「「どうしてだ?」」
男子二人が振り返り答える。
「私達の本来の目的は何?」
「本来の目的……」
「それは、この状況を何とかして脱する事でしょ?」
「あっ」
細縁眼鏡が短く声を発した。
「長谷部さんには申し訳ないけど、これを利用して領主に付け入るのが一番だわ」
「黒田、お前……」
「でもこれが最善の方法なんだ、すまない」
細縁眼鏡は真実の考えに同意したようだ。
「お前がそこまで言うなら……」
男子の一人が折れた。
「い、一応長谷部さんの意見も聞いてみたほうが」
オタクが言う。
「長谷部さん、良いかしら?」
「は、はい……」
まさか拒否できる訳も無く、晶は首を縦に振った。
「反対意見のある人は?」
今度は誰も何も言わなかった。
「領主の所には、私が行くわ」
真実はそう言った。
「大丈夫か? 長谷部さんみたいにならないか?」
「大丈夫よ、むしろそれが目的だから」
「え?」
「せっかくこの状況を脱するなら、国を支配したほうが面白そうじゃない?」
クラスメイト達は息を呑んだ。
「確かに、それは面白そうだな」
男子の一人が口を開いた。
「よくあるラノベの建国ものだな」
オタクも言った。
「異論はない?」
真実が言うと、「ちょっと待って」と女子の一人が言った。
「何かしら?」
「それはあまりにも危険じゃない?」
彼女の意見は至極もっともだったが、これに対して真実は答えて見せた。
「じゃあ、あなたは他に良い案を持っているの?」
「でも、黒田さんが領主にそんな事されるなんて……」
「私は問題無いわ」
こう言われると、彼女も押し黙るしか無かった。
「文句無いわね?」
皆は黙って首を縦に振った。





