表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/51

第三十四話 次期村長

「それじゃ、商売慣れしているロレンツォに頼みますよ」と哲郎は言った。

 彼らはレンブルク襲撃の後、すぐにレンブルクを出て村まで戻って来たのだ。


「ええ、分かりました。売るのは小麦ですね」


「はい――白パンはギルドに目を付けられると厄介ですからね」


「うむ、行って来い」


 ロレンツォは、村に戻るとすぐにまた商売用の小麦を持って出発する事になった。


「それでは」





 哲郎はロレンツォが行ってしまうと、伸びをしてからロタールに、


「やはり畑の面積を広げ続けるべきですね」


 と言った。


「うむ、確かに――ただ、一部地面が固い」


「ああ、やっぱりそうですか……」


「何とか対策は無いものだろうか?」


「今の鍬はこれですよね」と、哲郎はロタールに確認した。


「ああ、そうだが」


「ふうむ……」


 哲郎は考えた。鍬を回して良く見た。


「あ」


「何か解決策があるのか!?」


「この刃を厚く、重くすれば……」


 哲郎が提示した鍬の案は、唐鍬と呼ばれるもので、木の根などが簡単に切れるものである。


「成る程、それで鍬を重くして、土を掘り起こし易くするのだな」


「ええ、部分的に使うだけなので数は要りません。一つか二つで良いでしょう」


「分かった、鍛冶屋に言っておこう」


 ロタール村長はそれだけ言って、出て行った。哲郎も畑仕事をしに家を出た。

 しばらく畑仕事をしていると、雨が降って来たので哲郎はやむなく帰宅した。





 ロレンツォは雨の降る中、森を進んでいた。彼の経験によると、この先に洞窟がある。そこまで行こう、と考えたのだ。

 やがて洞窟に着いた。彼は火をおこした。運良く洞窟の奥に木切れが転がっていたからだ。湿ってなかなか火が着かなかったが、彼はこれから先は洞窟の中に木切れを置いておくべきだ、と考えた。

 彼は程なくして眠りに就いた。





 哲郎はいつにない大雨に不安になっていた。この村に来てから経験した一番の大雨である。しかし彼もまた寝返りを打ち、眠りに落ちた。





 翌朝、哲郎は目覚めた。朝の日差しが戸口から射し込んでいる。彼は伸びを一つして、目をぱちぱちさせながら出た。外にはロタールが向こうを向いて立っていた。


「おはよう」


「おはようございます」


「昨日は物凄い大雨だったな」


「こんな雨は初めてです」


「ああ、村がこの場所に引っ越してからも初めてだ」


「そうですか」


「村の見回りもしなければならない」


「え、なぜですか?」


「また迷い人が流れ込んで来るかも知れん」


「確かに……」


「いいか、テツロウ」とロタール村長はこちらを向いた。


「何ですか、いきなり」


「お前も将来はこのような問題に対処せねばならない」


「どうしてですか?」


 哲郎は不思議に思った。なぜ自分なのか?


「それは――お前が、次期村長候補だからだ」


「え!?」


 哲郎は心底驚いた。ロタールは続けた。


「見ての通り、俺ももう若くない」


「で、でも、他にも村人が居るでしょう……」


「他の村人は、皆お前を慕っているのだ」


「嘘だ!」


「……いや、本当だ。お前は色々と役に立つ発明をした。皆はお前こそが次期村長にふさわしいと考えているぞ」


 哲郎はこう言われると反論が出来なかった。確かに、そうなるのも無理はないのだ。


「この村の将来は、お前が担って行くものなのだぞ」


 哲郎は黙った。今、自分の両肩には重い負担が乗っているのだ。

 とその時、一人の村人が駆け込んで来た。


「おーい村長! ()が川底にあるぞ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑上の☆をクリック(タップ)して、ポイントを入れる事が出来ます。★一つでも執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。

小説家になろうSNSシェアツール

小説家になろう 勝手にランキング

cont_access.php?citi_cont_id=473360702&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ