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5話。謁見とか色々な話

謁見の間らしき広間へ連れて行かれた俺たちは、案内を務めた者から『謁見の際はとりあえず頭を下げておくように』と言う心温まるアドバイスを頂戴することができた。


まぁこっちは謁見の作法なんか知らんから何が無礼かどうかもわからんし、向こうは向こうでこの世界にきたばかりの連中に正しい作法を求めはしないのだろう。


なんだかんだで向こうが頼む立場だしな。


あぁ、ちなみに召喚された学生さんたちは、俺が予想したように多かれ少なかれ異世界転生に対する知識はあったらしく、全く知らないような奴にはその友人っぽいのが簡単なテンプレを教えていたので、今では特に騒いだりはしていない。


これがラノベとかが普及する前だったら「私を家に帰してよ!」的なことを言ったり「誘拐犯に従う気はない!」とか現実を無視した阿呆が無駄に騒いで相手からの不興を買ったり、時間を無駄にしたりしたのだろうが、今のところその心配は無いようでなにより。


なんなら生徒よりも木之内さんの方が肩肘張っているくらいだ。


だが肩肘張っても無駄無駄無駄。


なにせ俺たちはこの世界の常識も知らなければ金も身分も無いんだ。この状況で王侯貴族の後ろ盾を失ったら野垂れ死にが確定してしまう。


チートだなんだとテンションが上がっていた生徒たちも、最低限のパターンが判明するまではおとなしくするようだしな。モブは黙って頭を下げてればいいのだよ。


~~~~


王の話、以下抜粋。


「勇者たちよ!この度はよくぞ我がフェイル=アスト王国へ来てくれた!」


(来たっつーか誘拐されたんだけどな)


「今、この国は、いや、この世界は魔王の手によって未曾有の危機に陥っている!」


(その割には贅沢してそうだけどな)


「突然のことで困惑しているであろう。しかし、神の加護を持った諸君らであれば、魔王などどうということもない!」


(困惑に関してはスルーですか。そうですか)


「神から授かったその力を、是非我々人類のために役立ててほしい!」


(断ったら非国民一直線だな)


「そもそも我がフェイル=アスト王国の祖は神に選ばれた……うんたらかんたら」


(なら自分で戦ったら?)


「……諸君らの健闘を期待したい!」


(……かなり上からではあるけど、貴族主義っぽい王政社会にもかかわらず王が命令じゃなく懐柔を選択してる時点で、向こうとしてはかなり譲歩したんだろうなぁ)


「話が長くなってしまったが、諸君らを歓待する為の晩餐会を用意してある」


(集めた諸侯へのお披露目と接待ですね。わかります)


「今はまだ混乱しているだろうが、この晩餐会で少しでも相互の理解が進むことを願っているぞ!」


(こっちを理解する気は無いんだろうな)


「では、晩餐会にてまた会おう!」


(質問も何も受け付ける気無し、か。王様だから当然ではあるけどな)


~~~~


はい。そんなこんなで謁見終了。


結局のところなんか魔王っぽいのがいるからそいつを倒してくれって話だな。そんでもって帰る方法は、魔王を倒した時に女神様が教えてくれるんだとか。


これを聞いた時点で、俺を含めて何人かの生徒は『もう嘘確定ですやん』ってことを確信したぞ。


報酬が成果報酬で後払いなのも問題だけど、その報酬を支払うのが自分じゃなく神ってなんだよ。


もうアホかと言いたかったが、さっきも言ったようにここで切れても生活できんからな。


王に対してはテンプレ通り勇者くんが『自分が頑張ることで……うんたらかんたら』言ってたので、とりあえず学生さんたちは魔王サマとやらを倒すために頑張るのだろう。


まぁ、勇者君も王の言うことに違和感を覚えているようだったから、簡単には人形にはならんとは思うけど、結局のところその辺は学生の皆さんと王の駆け引きになると思われる。


俺? なんで俺がそんなことをせにゃならんのだ。元々無料奉仕は嫌いだし、最初から報酬を支払う気が無いやつのために動くつもりなんかないぞ。


多数決? 残念。


王や向こうの学生さんたちがどう思ってるかは知らないが、俺は連中とは違う組織の人間だから、あいつらの決定に従う理由がないんだよ。俺の行動の決定権を連中に委任した覚えも無いしな。


ってなわけで、俺は俺で自由にやらせてもらうのだ。


さしあたってはこれから開かれるお披露目を兼ねた晩餐会で動く予定だ。これは恐らくこちらの精神的な逃げ道を塞ぐ気なのだろうと思われる。


そんな下心有り有りな接待に対して、接待攻勢を知らんお若い教師さんや生徒さんたちがどれだけ耐えることが出来るのやら……とにかく若者たちよ。せいぜい頑張って接待されてくれたまゑ。


俺はその間にやるべきことをやらせて貰うぜ!


こうして俺は、王の話や共に召喚された生徒たちをガン無視して、己のためだけに動くことを決意したのであった。



いくらナーロッパでも王様と謁見するのに膝も折らないってどうかと思うの。


基本的に神城君は現時点で学生さんたちを自分と対等の存在とは見ておりません。


まぁ中身36歳で当たり前に社会人してるオッサンが、親の庇護の元で勉学に励む未成年の学生を一人前の人間扱いすることはありませんからねってお話。


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