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幕間……というか設定のような話

ねんがんの エアコン を手に入れたので初投稿です

現在神城がエレンやヘレナから教えてもらったり、セイヤ少年と濱田少年が図書室で学んでいるこの世界の常識の一つとして、魔王と勇者の関係というものがある。


その常識の中では、この世界において【魔王】と呼ばれる存在は二人いるとされている。


一人目の魔王は初代勇者によって討伐された(もしくは初代勇者と相打ちになった)とされる竜の王である。


千年以上前の話ではあるものの、鱗や爪といった死骸の一部が初代勇者を召喚した神聖帝国の深部に保管されていることもあり、彼の者が実在したことは歴史上の事実として認識されている。


そして二人目の魔王。つまり現在魔族を率いているとされている魔王は、竜の王の死後数百年後に生まれたと言われている、とある鬼の魔物のことを指している言葉である。


その存在が人類に認識されるようになったのは、今を遡ること数百年前にして、初代勇者の召喚から二、三百年後のことであった。


その鬼は通常は2~3メートル程度の大きさしかない鬼族の中で、4メートル以上の巨体を持ち、その巨体に見合った圧倒的な『威』を備えていたという。


当時、今は滅ぼされてしまったが故に名も残っていない国によって召喚された四代目の勇者たちが、とある戦場にて魔族相手に獅子奮迅の活躍をしていた最中にその鬼は突如として現れた、らしい。


問答無用で攻撃を受けた勇者たちは動揺したこともあってあっさりと敗北した。その際、一〇人以上いた勇者パーティーは鎧袖一触で蹴散らされたという。


その戦場から生きて戻ることができたのは、戦わずに逃げ出だした一般の兵士や、偵察のため勇者パーティから離れていた斥候役の少年と、後方で物資を管理していた少女の二人だけであったという。


逃げ出した兵士や、距離があったもののなんとか遠目にその存在を確認することに成功していた斥候役の少年から鬼の存在を聞いた各国の上層部は、その鬼を新たな魔王として認定した。


その後、魔王による勇者の蹂躙は一向に収まらず、ローレンシアに召喚された五代目の勇者も敗北。さらに今は亡ぼされてしまった国(四代目を召喚した国とは別の国)によって召喚された六代目の勇者や神聖帝国によって召喚された七代目の勇者などは、魔王どころか、その部下によって殺されてしまう始末であった。


これに頭を抱えたのが各国の首脳である。そもそも一言で『勇者を召喚する』と言っても、そのコストは決して安いものではない。なにせ召喚の儀式を行うために大地の力を大量に消費してしまうことは当時から広く知られていること、いわば常識であったからだ。


そんな安くはない代償を支払ったにも拘わらず、五・六・七代目の勇者たちは何も成すことなく無駄死にしてしまったのだ。当然彼らを召喚した国家としては堪ったものではない。


度重なる勇者の戦死によって色々とグダグダになりかけた人間側にとって唯一の救いだったのは(理由は未だに明らかになっていないものの)その鬼が出現するのは大規模な戦場、それも人類側が侵攻した場合に限るということが判明したことくらいであろうか。


そのため八代目以降の勇者は、戦場に出す前に徹底して鍛えることや、戦場に出す際も専ら攻勢には使わずに守勢に用いる。もしくは内政に集中させて技術水準などを上げるために利用するという、なんとも消極的な利用法を選択することが大陸の常識となりつつあった。


そして今。初代から数えて十一代目とされる勇者を召喚したフェイル=アスト王国も、当然ながら勇者に無駄死にされることは望んでおらず、もし死ぬにしても最低限の知識や技術を吐き出させてからにしたいという思いがあるため、勇者を温存する方向で動いていた。


これが元々戦場で使われる予定であったセイヤ少年や濱田少年らが未だに最前線に飛ばされずにいる最大の理由である。


因みに初代勇者から現在に至るまでの勇者の数と勇者を召喚した国。そして召喚された勇者の主な死因は以下のようになっている。


初代 -1人・神聖帝国- 龍の王(実際は龍族の族長)を討伐。死因は相打ちや寿命など諸説あり 

二代目 -3人・フェイル=アスト王国- 魔族との戦闘で死亡

三代目 -4人・ローレンシア連邦- 寿命

四代目 -13人・今は亡き小国- 鬼との戦闘で死亡

五代目 -12人・今は亡き小国- 鬼との戦闘で死亡

六代目 -32人・今は亡き小国- 鬼の部下(おそらくは幹部)である蟲の魔物との戦闘で死亡

七代目 -31人・神聖帝国- 鬼の部下(おそらくは幹部)であるアンデッドとの戦闘で死亡

八代目 -30人・フェイル=アスト王国- 寿命

九代目 -33人・ローレンシア連邦- 寿命 

十代目 -30人・神聖帝国- 寿命

十一代目 -32人・フェイル=アスト王国- セイヤ少年一行


上記の中で、六代目の勇者を殺害したとされる蟲の魔物については、蟲の大群によって国ごと勇者が滅ぼされたせいで目撃者はいないものの、勇者が死んだとされる日の数日後に突如として蟲系統の魔物の動きが鈍化したことから、おそらく勇者との戦いで疲弊したところを何者かに討伐されたのではないか? と考えられている。


反対に七代目の勇者を殺害したアンデッドに関しては、アンデッドの大群によって国ごと滅ぼされたためその姿を見た者がいないのは蟲の魔物と一緒なのだが、動きが鈍化した蟲とは違ってアンデッドはその動きに特段何も変わった様子がない――それどころか戦略的に動くようになっているため――今も魔王軍に所属していると考えられている。


このため神城から報告を受けたラインハルトたちは、王都に現れた魔族の片割れがこのアンデッドなのではないか? と疑っているのだが、下手に警戒してしまい交渉が失敗するとこまるので、今のところはこのことを神城に伝える気はなかったりする。


追記として、上記の情報はあくまで人間側が認識している情報の中からから『おそらくこれで正しいだろう』と認識されている情報である。


よってこの情報は必ずしも正確なものではないのだが、そのことを認識、及び指摘できる人間は存在していない。

この解説にて5章終了です。


新章は……ガンバリマス。


面白いと思って下さったり続きが気になる方は、何卒ポイント評価などをよろしくお願いします。

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