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クラージュ・イストワール  作者: Hanna
第Ⅲ章 魔法工学先端国 オリュンポス諸国 編 ―小さな光と大きな闇―
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第2節 アテネ剣魔術学園へ

 焔は、神殿で動くゼウスの石像から導きを授かる。

 そして、焔、アールシュ、ロラン、ルノーアテネ剣魔術学園へ!

 オリュンポス諸国同盟、首都アテネ。オリンピア=ゼウス神殿にて、焔は動くゼウスの石像と話をする。


「オリュンポス人は、魔法工学とか言う力で、最近のオリュンポスの異常を発見した事にほっとはしているが、神々は一つの可能性があると考えている。そこでお前さんに聞きたいのだが、何者かによる策略とかに遭遇はしなかったか?」


 焔はゼウスの問いに、コノートとローマで不気味な怪物を見た事と、ルミソワとアルスターで怪しい魔術師を見た事を話した。


「ソイツは、私と仲間を殺そうとしていましたので、敵には間違いありません。ただ、何者なのか、詳細がつかめておらず、すみません。」


「うむ。だが、それでも、敵だと判断しているだけでも、良いことだ。……なるほどのう。」


「どう、されたのですか?」


「いや、確かなのかは分からぬが、オリュンポスで地響きのような音が響く事もあってな。天界に今までにない事例だった。経験のない事に少々慌ただしくなってのう。」


「神々の町・オリュンポスに、そんな事が。それと、ミュケナイ公爵様によると海洋地震観測器・トリトンと呼ばれる機械で、海洋から人は感じない程の小さな地震が一年以上続いていると聞きました。私は、凄く嫌な予感がするんです。海底からと聞くと……。」


 焔は神話で、地震に関連する一族を思い出す。海底の奥底に眠るとされる者たちを。


「お前さん、分かっている様じゃな。……こちらも、何とか対策を練らねばな。あ、そうだそうだ。お前さんの不思議な機械の板の事で話があるのじゃったな。」


 “ん?……もしかして、スマホの事か?”


「その板を持って、アテネ剣魔術学園の聖域に行くと良い。聖域にあるフェファイトスの技術が、お前さんを救うだろう。」


「フェファイトス様?!あの、鍛冶の神様が、ですか……あ、ありがとうございます‼」


「うむ。フェファイトスに伝えておくぞ。もしもの時は、周りにある知恵や人を行使せよ。では、共に健闘を祈ろう。」


 ゼウスはそう言い、石像は元の姿に戻ると動かなくなった。焔は、神々も警戒する何かがあると確信して、オリンピア=ゼウス神殿を後にした。

 彼女は、学園の聖域についてミュケナイ公爵に話すと、学園長に話をしておくと言う形になった。また、アーサーは彼女の使い魔として迎えさせるとの事だった。



 そして、翌日。焔は、アールシュ、ロラン、ルノーはアテネ剣魔術学園の制服を着てミュケナイ家の馬車で学園へ到着する。


「ここが、あの名門校……。」


「素晴らしい建築技術と芸術ですね。」


「凄い。」


「これが、学校だなんて信じられない。」


「キュ!(特別意訳:同感)」


 学園を前にして、四人と一匹はそれぞれ感想を述べる。すると、お偉い方と思わしき男性が彼らを迎え入れるが、見た目は若い。彼は四人に―


「ようこそ、アテネ剣魔術学園へ。私は、この学園の長をしております。ケイローンと申します。」


 と言い、一礼する。焔たちは、ありがとうございますと言い一礼する。彼女は―


 “ケ、ケケ、ケイローン先生ェェェェッ?!ドユコト?”


 と頭の中で混乱する。しかし、その時間もなく、ケイローンに案内される。辿り着いたのは、アテネ剣魔術学園内のホール。その真ん中には台座があり、一本の剣が刺さっていた。

 そこには、多くの生徒がいた。ケイローンは、焔たちをホール内の壇上に案内した後、生徒らの前に出ると、一斉に静かになる。そして、彼は話を始める。


「皆様。今日から、このアテネ剣魔術学園に留学生として四人の生徒が来てくださいました。彼らは、剣魔術・魔獣討伐クラスに配属されます。どうぞ、皆さん、仲良くしていただきたい。」


 ケイローンの言葉に、生徒らは拍手をして歓迎する。彼は、拍手が収まった後―


「そして、今から勇者の儀を行います。」


 と言い、まずはロランを指名した。

 ケイローンの説明によると、勇者の儀はホールの真ん中にある剣を抜くと言う儀式。

 見事に剣を引き抜いた者は『監督生(プリフェクト)』と言う役職を与えられ、剣魔術・魔獣討伐クラスの指揮官(リーダー)に任命されると言う。留学生問わず、全員試されると言う。

 ロラン、ルノー、アールシュは順番に行くが、剣はびくともしない。


「最後に、焔くん。」


「は、はい!」


 焔は、緊張しつつも台座へと向かい、目の前に立つ。台座にあった剣は、青と銀を主体とするもの。しかし、ただの銀の剣には見えなかった。焔は、両手で杖を掴んで一呼吸を置いてから力を込めて抜き始める。

 すると、剣は淡い光を帯び始め、徐々に光が強くなっていく。焔は、剣を更に台座から抜いて行くと、四回目程力を出した所で完全に抜く事が出来た。


 “引き、抜いた……”


 焔は驚く。彼女が剣を引き抜いた事に感激したり、気に喰わないと言う様な表情をする生徒らがいる。


「皆さん、新たな監督生へ、大きな拍手を。」


 ケイローンの言葉に生徒の拍手が湧く中、焔は予想外な出来事に一人茫然するのだった。

 儀式と歓迎の祝賀後、焔たちは剣魔術・魔獣討伐クラスの宿舎へと案内される。彼女だけは、ケイローンと共に宿舎の会議室に到着する。

 会議室には一つの円卓テーブルが置かれ、均等に置かれた席に剣魔術・魔獣討伐クラスに所属する生徒が座っていた。

 焔は、一番奥……監督生(プリフェクト)の座席に座るが、緊張のあまり肩に力が入ってしまう。


「忙しくさせてすみません。今日から、焔くんはこのメンバーの長を務める事になります。さぁ、自己紹介を。」


「は、はい……。し、式守焔と言います。未熟者ですが、よろしくお願い致します。」


「よろしい。このクラスは二学年から所属できますので、一学年はおりません。では、二学年代表から自己紹介をしてもらいましょう。」


 ケイローンはそう言い、メンバーはそれぞれ順番に自己紹介を始める。

 剣魔術・魔獣討伐クラスは、一種の軍的な組織図になっており、歩兵、魔術、騎兵、空兵、海兵、伝令・偵察、軍医、補給と合計八つの部隊からなる。

 焔は自己紹介を受けたメンバーと別れて、ケイローンにより奥の部屋に入る。そこは、監督生専用の部屋で、直接会議室や宿舎廊下にも通じている。


「す、凄い……。」


「初めは慣れない事もありますが、その時は本校の生徒に頼る事も必要です。」


「はい!」


「今日は、忙しくさせてすみません。ミュケナイ公爵殿が仰っていた聖域の件は明日でも構いませんが……。」


 焔は、ケイローンの気遣いに気付きつつも、危機的状況で必要な事もあるかもしれないと直感して、今すぐに行くと話した。

 彼女は、宿舎から少し離れた小高い丘の上にある石の円柱が置かれていた。それは、腰ほどの高さで何かをはめ込む凹みがあり、とても近代的な要素を持っている。

 彼女は石柱の前に行き、スマホをへこみにはめ込むと―


[スマートフォン、機能拡張。『地図自動把握システム』『敵性反応接近警戒アラート』『敵性個体分析』『英雄看破』『図鑑、拡大』『写し絵プリンター機能』『画面ホログラム展開の追加』『メモ機能』『負傷検査機能』etc…]


 とアナウンスが流れ、石柱とスマホから眩しい光が放たれた。光が収まると、画面にはオリュンポスの地図が示され、新しい機能が追加された事がお知らせとして届く。


 “これを詰め込むって、かなりのチートじゃん……”


「フェファイトス様の力、上手く機能できたようですね。良かったです。」


「は、はい。ケイローン先生。そ、その、監督生は、リーダーと言う事ですよね?」


「そうです。」


「し、しかし、私は、リーダーシップ、と言うものを持ち合わせていません。それに、この剣を持つ資格があるのでしょうか?」


「焔くん。誰しも、リーダーと言う職に任命された時は、自分が何故、と疑問を持つのは当然かもしれない。……けど、実際にやって見ないと分からないものだ。」


 ケイローンは話す。焔がそれぞれの国の歴史を知っているはずだと言い、例え王族であっても王に向いている者、向いていない者がいると話す。確かに、人には向き不向きがある。


「しかし、焔くん。君には、ここで学んでもらいたい事がある。魔術も剣術も当然だが、私としては君に秘められた才能、君が気づいていない才能を知って欲しいのもあるし、もっと人と親しんで欲しい。分かりますね?」


 “つまり、ケイローン先生は、私に試練をって事だよね?賢者らしい……”


「はい!……不器用ですが、自分なりにやってみようと思います。よろしくお願いします、ケイローン先生。」


「こちらこそ、よろしくお願いします。そうだ。翌日、君と仲間たちの健康診断を受けてもらうからね。ここの保険医はとても優秀で、軍医の最高顧問だから安心してください。」


「分かりました。お伝えしておきますね。」


 “医者、か。あー、これ、なんとーなくだけど、ピオ先生だったりして……”



 翌日、休日の最中で焔たちは健康診断を受ける。最初に、アールシュ、ロラン、ルノーの順で診断を終え、焔の順番となった。礼儀を正して保健室に入ると―


「そこに座ってくれ。」


 と、医者の格好をした青年と思わしき人物が書類をまとめながら言う。そして、彼の近くには一匹の白蛇がおり、杖に絡みついていた。蛇がいる事に緊張しつつも、青年の前の椅子に座る。


「まず、名前を言ってくれ。」


「はい。式守焔です。」


「よろしい。私は、この剣魔術・魔獣討伐クラス軍医最高顧問兼アテネ剣魔術学園の保険医総長、アスクレピオスだ。」


 “え?……えぇぇぇぇぇッ?!医神アスクレピオス?!”


「今から、身長体重を申告してもらう。良いか、誤りは許されないぞ。その後に診断を行う。」


 アスクレピオスはそう言ったが、焔はまさか予想通りに本人がいるとは思わず固まってしまったのだった。

読んでくださいまして、ありがとうございます。

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

焔:まさか、全能神ゼウスに、ケンタウロスの賢者ケイローン先生までいたとは。驚きすぎて、寿命が縮まりそうだったぁ。

 そこで、今日は、ゼウス神とケイローン先生にまつわる『イリュド豆知識!』。

 ゼウス神は、神話では女好きと言われていますが、大昔にゼウスの血を引く者だと主張する者たちが多かったと言います。

 ケイローン先生については、弟子には多くの伝説的人物がいます。戦術枠では、アキレウスとカストルにヘラクレス、知恵枠は医神アスクレピオスです。

 ちなみに、ケイローン先生は、アポロンから知恵を、アルテミスから弓術を教えてもらったようですよ!

 次回『第3節 アテネ市内の見回り』です!引き続き、よろしく!

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