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クラージュ・イストワール  作者: Hanna
第Ⅱ章 大秦王帝国 インぺリウム・ローマ 編 ―長命菊の名君―
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第4節 潜入作戦 ・改 ―ローマへ―

 緊急会議を開催し、騎士団は作戦を練る。

 緊急会議を開催し、騎士団は作戦を練る。潜入方法としては、山脈に関しては関門を通るほかは無い。馭者は少なくとも二人が最大限の人員で、他にはルミソワ人で騎士団以外だと、焔とクーだけになる。

 ジュヌヴィエはローマ出身だが、怪しまれては身の危険がある。


「となると、(ロード)とクーには首都ローマに向かって欲しい。しかし、ルミソワ人である俺たちはどうにもできない…。」


 アッシュはそう言って、悩み始める。


「もう、これは、変装とか徒歩しかないのかぁ…。却下だなぁ…。」


 焔は、小さく呟いた。アッシュは、彼女の言葉を小耳に挟んで考え―


「それだ!それだよ、(ロード)‼」


 と言う。焔や騎士団員たちは、首を傾げる。アッシュは、とある案を話し始める。


「ローマに行く班と郊外に留まる班に別れよう。危険を伴うが、大勢がやられては大変だ。

 まず、ローマに行く班には焔、クー、ロラン、オリヴィエだ。それぞれ、報告を行って、状況を探って全員ローマ入りをする。」


 アッシュは、今日は妙に閃いたぞとキラキラと目を輝かせる。オリヴィエは驚きながらも、その案を聞いて彼の立案に付け加える。


「まず、ローマに行く班には焔、クー、ロラン、僕。焔とクーは、ローマ王宮へ行って皇帝にご挨拶をして王族またはローマ市街の調査。僕とロランは……医者とその助手に変装してスラムの調査をする。」


「へ、変装ですか?!」


 オリヴィエの案に、ロランは驚く。パーティーの出し物で、変装らしきものをした事はあるが、実際にする事になると、彼は思っていなかったのだろう。


「それと、ルミソワ人だと判別されるもの全てを隠さなくてはいけない。悪いけど、ルミソワの紋章は消すべきだね…。」


「じゃ、服装も何とかしなくちゃ!確か、ルミソワの紋章が付いていない騎士服もあったよね?」


 オリヴィエの言葉に、アストルは尋ねる。彼は、あると答える。焔たちも、普段着としてルミソワの紋章が入っていない服やマントがある。


「恐らく、その方法で行くしかありません。」


 オリヴィエは、そう断言した。アッシュは、その案を承諾して改めて言う。


「全員がローマ入りする為には、調査班が重要なカギとなるが、今の帝国の事も知る必要はあるだろう。郊外に留まるとしても、それなりの調査を要する。

 相手が、未来を視ると自ら言ってくるのであれば、それを解き明かすまでだ。ローマの調査班は、変装した後、郊外から徒歩でローマ入り。郊外に残る俺たちは、報告を受けて行動をする。異論はあるか?

 ……ないなら、これを実行する。」


了解(ダコール)‼』

「オッケー!」

「キュウ!」

「おう!」


 騎士団は返事をして、会議は解散となった。そして、雪が晴れて騎士団は、その早朝に出発する事となった。


「お前さんたち、無理はするんじゃねぇぞ。下手したら、平和に収まるどころじゃねぇからよ。」


「忠告、ありがとうございます。では、いってまいります。」


 宿主の男の忠告に、フロリは返事をして荷馬車に乗り込んだ。彼とジュヌヴィエは馭者を担い、ヴェイヤンディフとバヤールに手綱で出発の指示をして、荷馬車を走らせた。

 ローマ調査班の焔、アーサー、ロラン、オリヴィエ、クーは異空間の部屋にて作戦会議をしていた。


「あらかじめ、こちらの作戦を練っておかないとね。ぶっつけ本番よりは、良いだろう?」


「お前さんの言う通りだ。仲間を、危険に晒したく無いしな。」


 オリヴィエの言葉に、クーは賛同する。焔もロランも、その意見に当然賛成だ。オリヴィエは、話を始める。


「それでなんだけど、まずは、僕とロランは旅をする医者とその助手。と言う事にはなっているけど、他に何かアイデアは無いかな?」


 オリヴィエの案に、三人は考える。


「……ん~。名前も変えた方が良いと思う?例えば、ローマ帝国で使われる名前を使うとか…。」


 焔は、とりあえず言ってみようと案を言う。


「あり得るものですね。旅をしているなら、他国の言葉を使った方が良いかもしれませんね。魔術で他国の文字は解読可能ではありますが…。」


「あとは、武器は…剣よりも短剣の方が良いとは、思うぞ。医者ってのは、あまり戦うイメージが無いと言うか、戦いを避ける方だからよ。大事な武器を手放すのは、状況的には悪いが…。」


 焔に続いて、思いついたクーはそう言った。


「確かに、その可能性を含めば、少々考えなければいけない案件ですね。」


 そう答えたロランは、クーの意見を聞いて考えられる事だと思う。当然聞いていたオリヴィエは、なるほどと顎に手を当てて考える。焔は、ふとクーに話を投げかける。


「そー言えば、私とクーも何かしら人間関係設定的なの、必要かな?」


「心配いらねぇさ。仲間だし、兄貴と妹分なんだからよ。ま、一応、皇帝さんには、俺の側近って通しとくぜ。」


 クーはそう言って、焔の頭を撫でた。彼女は、心で困惑する。


 “兄貴、そーゆところだぞ…”と焔、

 “クースクリド王子もだけど、クーもそこそこ無自覚なところあるよね?”とユウは思う。


「あ‼ちょっい待ち!あと、一個!」


「焔殿?」


 ロランはどうしたのかと尋ねると、彼女はすぐに答える。


「お風呂には、絶対に入る事‼ローマの人々は、大の温泉好きだから‼」


 焔の言葉を簡潔に言うと、温泉やサウナと言う娯楽の場は『ローマ人の交流の場である』との事だ。三人は首を傾げていたので、彼女は言いたい事を説明した。

 三人は、なるほど、と頷いていた。

 その後、話し合いを終えたローマ調査班は、以後話し合ってローマへの出発する仕度を始めた。こうして、二日かけてアルス山脈の山道を行くと、ローマ帝国の国境を越えて麓の町へと到着した。


「では、作戦実行の日ですね。道中は、魔獣もいる可能性がありますので、お気をつけください。」


ありがとう(メルシー)、ロラン。」

「キュウ!」

「ありがとさん。」


 ロランの気遣いに、焔とアーサー、クーは礼を言った。調査班でも二手に分かれる事になった。

 焔とアーサー、クーは先行し、遅れてロランとオリヴィエは旅をする医者と助手になりきってローマ入りをする。

 焔は、大事な役目として光石を置く事になった。それは前日に言われた任務だった。


 ♢


 その前日、焔はオリヴィエに呼ばれて彼の部屋に来ていた。


「人格たちの様子はどうだい?」


「今の所は、問題無いよ。安定している。」


 オリヴィエの質問に答えたのは、穏やかな口調で話す(ユウ)だ。彼は、彼女の言葉を信じた上でこう言う。


「もし、何かあったら、遠慮せずに連絡を入れて欲しい。万が一、毒殺の防止をする為、薬を持って行って。ルミソワも一時期、毒殺が横行したからね。」


 オリヴィエ、はそう言って四つの小瓶を焔に渡す。彼女はありがとうと言って受け取る。彼の説明によると、一つの小瓶で毒を摂取しても直ぐに解毒する効果があるようだ。


「それと、ローマへ向かう際に、この光石を置いて欲しいんだ。」


 渡されたのは、小さな小袋。焔は、中身を見るとポーチと同じ様な亜空間に青く光る石がたくさん置いてあった。


「これは、焔、ロランと僕にしか見えていないから安心して。僕が、石の光具合で君たちがどれほど前にここを通過しているか、分かるからね。時々、()()で活用するにはうってつけの魔術道具だ。

 大事な任務を任せっきりで申し訳ないのは分かっているけど、よろしくね。」


 ♢


 “ローマ入り、か。頑張らなくちゃ!”


 焔は緊張しつつも、クーと共に徒歩でローマへと向かった。

 一方、フロリたちは、一つの宿を営む主人に声を掛けられていた。主人は、ルミソワの者だと見抜いたようだが、ローマ兵には密告しないと言った。


 “油断できないけど、探る必要はあるな…”


「理由をお聞かせください。」


 フロリは油断禁物を自分に言い聞かせて言うと、主人は自身の部屋へ彼らを招き入れて話を始めた。


「実は、皇帝陛下の妻であらせられるアクテ様がこちらの地下にいるのですが……。

 アクテ様が言うには、ルミソワの紋章を持ちし者、闇の真実を暴き、ローマの災いを晴らし、平和(パクス)をもたらすだろう、と神託を受け持ったのです。」


 “それって、ジュヌヴィエと同じ神託じゃないか?”


「詳しく聞かせてくれ。何故、皇帝の奥方である人が…?」


 アッシュは説明を主人に求めたのだが、詳しい事は彼女自身しか知らないとの事だった。彼女と会うには、宿の地下通路から地下広間に行くしかないという。

 地下広間は、あらゆる場所から通じており、ローマ兵に見つからぬ様に光明神(クレアシオン)様へ祈りを捧げている様だ。


「しかし、かつては、ソフィア様の娘様なら、アクテ様と同じく神託を受け取ったのですが…。

 五年程前、光明神(クレアシオン)様を拝む教徒を虐殺する事件から行方を暗ましてしまったので、皆、不安なんです。」


 “五年前?虐殺事件?五年前は、ジュヌヴィエがルミソワへ母さんと一緒に逃げて来た年だが…”


「あ、あの、その地下へご案内いただけますか?今でなくてもいいのですが…。」


 と言ったのは、ジュヌヴィエだった。主人は、彼女を見て何かに気付いたのか慌てて言う。


「こ、これは‼フロルドリ様‼」


 それを聞いていたアッシュたちは突然の事で戸惑う。


「ど、ゆー事?」


 とアストルは首を傾げて言う。


「貴様、何故、ジュヌヴィエ様の名を間違える?」


 ルノーは、主人に鋭い視線ながらも質問を投げかけた。


「その白き髪、空のように澄んだ瞳…。顔立ちが、ソフィア様とそっくりだ‼ご無事で何よりです‼」


 主人の言葉に、その場にいる騎士団たちは混乱を極めてしまった。

 読んでくさだいまして、ありがとうございます。

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―


 フロリ:どういう事なんだ…。ジュヌヴィエを、フロルドリと呼ぶなんて…。


 ルノー:同感だ。


 フロリ:だろ?何か事情があるなら、話してくれればいいものを…。もしかして、ジュヌヴィエが言っていた事が本当だとしたら?


 ルノー:どうした、フロリ?


 フロリ:あ、いや、何でもない。と、ここで『イリュド豆知識!』。

     ルミソワやアルスターは元々、ローマ帝国の属州だったのですが、元々の民族の支配が強く、後々に独立する代わりに、朝貢する事を約束したそうです。

     五年前から朝貢が絶たれてしまっているので、いつか俺が交渉して国交復帰をしたいぞ。


 ルノー:あぁ、問題を解決したら、やってみると良い。


 フロリ:ありがとな、ルノー!次回、『第5節 永遠の都へ ―地下に集う者たち―』!焔とクーは、無事についたかな?

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