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クラージュ・イストワール  作者: Hanna
第Ⅰ章続編 白詰草の女王国 コノート 編 ―正義は己の刃に―
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第27節 決戦/破-Ⅰ ―勝負・二十八勇士―

 第一波を聖槍で吹き飛ばし、焔たち別動隊とフロル率いるアルスター軍は進軍する。コノート軍との最終戦、ここに開幕する。

 一行は、無事に切り抜けて、コノートの領域に入って首都ゴスラウェイへ向かう。


「凄いぜ、兄貴‼」


 (ホムラ)は、クーに向かって誉め言葉を投げる。彼は、これくらい造作もないぜと言ってクースクリドと手綱を交代する。


「アッシュ。疲れていない?」


 (レイ)は、竜姿のアッシュに呼び掛ける。


「大丈夫だぞ。(ドラゴン)になると、人間の時より全然違うみたいだ。」


「そっか。無理はしないでね。」


 彼女の言葉に、アッシュはおうさと言い、翼を羽ばたかせる。アーサーは寂しそうにキュウと鳴き、焔はアーサーも頑張ったねと言葉をかけると、少し嬉しそうだった。

 しばらくすると、城壁が見えて来た。


「クー王子!あれが、ゴスラウェイですか?」


 ルノーの言葉に、クーは「おう、そうだ」と返事を返すが―


「って、門の前にいるのは、メイヴッ‼」


 ゲッと言うかのような反応で言う。クースクリドを含む焔たちは、初めて彼女を見た。彼女は、髪に艶を持っており、容姿はナイスバディと言っていいくらいで無駄な肉が付いていない。


 “あれが、女王メイヴ…”と焔、

 “見た目は純粋そうですが…”とレイ、

 “性格は、根っこからの性悪だな。名前の意味がなぁ…”とホムラ、

 “クーを狙っているんだから、焔がいる事で不機嫌になるかもね”とユウ、

 “誤解が過ぎる…”とエフは思う。


 焔たちは、メイヴとその従者二十八名の正面で止まり、タサドルから降りる。アッシュは、人の姿に戻って焔の隣に立つ。


「五人無事によく辿り着けたわね。しかも、半人前な騎士も無傷とはね。……やってくれるじゃないの。兄貴呼ばわりの妹分が。イチャイチャ、恋人のつもりか…。」


 そう言ったメイヴの恨みの視線は、焔に向けられている。彼女は、それをいち早く理解していた。アーサーは、彼女の肩で威嚇体勢を取っている。だが、メイヴは誤解している。恋人でも何でもない。

 焔は、口が悪いメイヴだろうと女王という威厳さは肌で感じている。


「メイヴ。貴様は、何を目的としてこの戦を始めたのですか?教えていただきたい!」


 そう言ったのは、クースクリドだ。焔たちも同じ気持ちだ。


「ん?貴方。見ない顔ね。」


「私は、アルスター王国第三王子クースクリドと申します。こんな形でありますが、一度は顔を見れて良かったです、コノート女王メイヴ。」


 クースクリドは、槍を持ちながらもメイヴに挨拶をする。王子たるもの、()()ケルト族として礼儀は欠かせない。


「敵に対しても礼儀のある王子だなんて初めて見たわ。それは良いわ。……ここは通さないわよ。さぁ、私の二十八勇士ちゃん、じわじわ追い詰めて()ってお終いよ。」


『おぉ‼』


 二十八名の戦士がメイヴの声に答えて前に出る。焔とアーサー、アッシュ、ルノー、クー、クースクリドは、それぞれの武器を構える。メイヴは、微笑みながら―


「さぁ、痛みに苦しんで散りなさい。勇士ちゃんたち、あの小娘を絶対に逃がさぬ様に…。私は、城で待っておりますわ。お~っほほほ!」


 と言い、戦車で城へと向かった。二十八名の勇士の内の十名は、焔へと一斉に襲い掛かろうとする。


『させるか‼』


 焔を守ろうと男たちは、己の刃で敵の攻撃を阻止して引きつける。焔は、二名の勇士を相手する事になった。他のメンバーも二人ずつとなっている。


 “相手は二人。メイヴ。私は、逃げない!こっちが、追いかける方だ!”


 焔は、斬りかかる二人の勇士の刃を受け流していく。彼女は、一人の勇士が蹴りをかまして来たのを見て腕で上手く防御するも、勢いで飛ばされる。それでも、体勢を整えて上手く着地する。


「お前らに聞く。メイヴは、何を目的にしている?」


 焔はそう言うが、勇士は―


「首を斬り落として、女神の捧げものにしようぞ!」


 と興奮状態だった。焔は、首を斬り落として捧げものにする意味を知っている。破壊の力を持つ女神三柱の気を静める為だ。

 しかし、そうなる訳には行かない。相手がそうするなら、こちらもそうするまで…と焔は覚悟を決めて前へと進んで行き、打刀に水を纏わせる。


 “行け‼……水の型 波ノ綾の技 潮流(しおながれ)‼”


 波のように焔は刃を振るい、二人の勇士の首を討ち取って上手く着地する。訓練の成果は出ていた。それでも、彼女にとって相手の首を取るのは恐ろしいものだと改めて思う。

 だが、それ所では無く、次々と自分と仲間たちに勇士たちは襲い掛かる。


「はぁっ‼」


 クースクリドは、素早い連続突きで三人の勇士の心臓に目掛けて突き刺す。一方、クーは、高い敏捷性を活かして四人を相手し、魔槍の力で貫いて棘の呪いで討伐する。

 ルノーは、冷気を纏って鋭い眼光で相手の刃を見定め、二刀流で攻撃をして凍傷を負わせて相手を凍てつかせ討伐する。


「貴様らの相手が、俺の弟子だけだと思うなよ。」


 ルノーはそう言って、次に斬りかかった勇士を相手する。

 そして、アッシュは、周囲に十一の剣を出現させて、それらを次々に地面に突き刺して大地魔術を発動させ、身軽な剣技で勇士を討伐する。

 こうして、順調に倒して行き、残りが最後の一人になった時、焔は相手を見て震える。


 “で、デカい…デカすぎる…あの黄金像よりはましだけどさぁ‼”と焔

 “それに、この気配、人間となんだ?”とエフは思う。


 最後の一人は剛腕で強靭な肉体を持っているが、人と思わせない雰囲気を持った勇士は(エフ)へと攻撃をする。彼女は後ろへと避けたと同時に、勇士の攻撃を受けた大地はドカンと音を立てて凹む。

 焔は、着地した直後に切っ先を男へと向ける。


(ロード)‼」


 “クソっ!邪魔しやがって…”


 アッシュは、三人の勇士に阻まれ焔を助けられずに困惑する。ルノー、クー、クースクリドは、二人ずつ相手していて、その余裕がない。


「アーサー。アッシュを援護して!」


「キュウ!」


 アーサーは、彼女の依頼に答えアッシュの元へと向かい、火炎放射をする。焔は、立ち上がって刀を構える。


「お前の相手は、(おれ)だ‼簡単に、諦めないぞ!」


 焔はそう言うと、大柄の勇士は斧を片手に地面へ振り降ろすと、男から焔へと地面から太い柱が次々と現れる。彼女は、右へと避けて男へ間合いを詰める。しかし、彼女が接近する直前で岩の柱を出現させる。


「ぐっ‼」


 柱に打ち上げられて、焔は衝撃と痛みに耐えて柱の上へと乗る。しかし、柱の上から男が彼女へと襲い掛かり、魔術で岩を手にして彼女へと投げた。

 一方、アルスター軍はコノート軍を僅かに押していた。


「それ以上前へ出るな‼下がるぞ‼」


 フロリは、アルスター軍の伝令兵にそう告げる。伝令兵は、角笛を鳴らす。前に出過ぎるのはかえって危険を伴う。戦士たちは、角笛を聞いてコノート軍の戦士を討伐し、フロリと共に下がる。コノート軍は、そのまま前進してくる。


「僕の事、忘れるなよ‼」


「ピィー‼」


 アストルは、グリンに急降下の指示を出す。グリンは、アルスター軍とコノート軍の間を素早く通る。アストルは、ソルセルリー・ランスを振るって竜巻の壁を起こし、コノート軍の進軍を阻止して飛び去る。

 そして、アルスター軍が向かった方の高台には、ジュヌヴィエと弓矢部隊がいた。


「打ち方用意!」


 ジュヌヴィエは指示を出して、弓矢部隊と共に構える。しかし、まだ矢を放たない。その間に、ロランとオリヴィエは、コノート軍を挟んでアルスター軍の反対側にいた。


「行きますよ、オリヴィエ。」


「うん。こっちは、大きな溝を作って、あちらを脅かすだけですからね。」


 オリヴィエは、オートクレールと魔導書を手にして言う。ロランは、焔から託されたある物を手にする。それは、フェルグスの持っていたカラドボルグだった。


 ♢


「フェルグス殿が亡くなったのですか?!」


「しーっ‼」


 ロランは驚いたが、焔は静にする様に言う。彼女は、鞘に納まったカラドボルグを手にして―


「デュランダルは、炎と大地の力があるでしょ。カラドボルグも、似たような力を持っていると思って。私が持ってても、宝の持ち腐れ。ロランの助力にもなると思う。」


 と話し、コルマクの話とフェルグスの件がこの戦いの真相につながる可能性があり、別動隊で解決する事を言った。 


「…ありがとうございます。この戦いの真相を、必ず掴んでください、焔殿。私たちは、本部隊で作戦を成功させます。」


「うん。頑張って。」


 ♢


 “焔殿。ありがとうございます。フェルグス殿の剣…カラドボルグを授かって良かったです。存分に、使わせてもらいます”


 ロランはそう思いを込めて、オリヴィエと目線を合わせて頷く。そして、二人はコノート軍を挟んで作戦を開始する。


清楚なる風剣(オートクレール)‼」


 オリヴィエは、敵陣に向かって剣を振るって風の刃を放ち、魔導書で風の魔術を増幅させて正面の敵を始末する。敵は、彼の方へと転換して進む。コノート軍は、前後に分裂する。


大地の稲妻(カラドボルグ)‼」


 ロランは、オリヴィエに迫りくるコノート軍が来て、タイミングよく剣を勢いを付けて地面に刺す。

 すると、ロランの前方へ一筋の光線が稲妻のように走り込んで、コノート軍がそれをまたいだと同時に大地が爆発した。

 フロルの方へと進んだコノート軍の戦士たちは後ろにも回り込まれた事に気付き、焦燥感を持つ。


「放てぇ‼」


 ジュヌヴィエは、爆発の光が見えたと同時に叫ぶ。彼女と弓矢部隊は、矢を一斉に放った。矢の雨は、フロルが引き寄せたコノート軍前方部隊へと降り注ぎ、敵を打ち倒した。


 “半分以上は削れたようですね。カラドボルグの力、凄まじいです。それにしても、別動隊の無事が気掛かりです…”


 ロランは、カラドボルグを鞘に納め、愛馬ヴェイヤンディフに乗る直前に焔たちの向かった方角を見つめて思った。

 読んでくださいまして、ありがとうございます。


― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 


 ジュヌヴィエ:始まってしまいましたね…。この戦で、敵の目的を知らなければ…。次回、『第28節 決戦/破―Ⅱ ―コノート王城へ―』。光明神(クレアシオン)様、どうか、我らをお守りください…。

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