旅路日記Ⅰ
―幻想界に来て一年半は経って、八月下旬になった。色々あって、国規模で大変だった事もあった。
でも、いきなり、大きすぎる使命を背負う事になって、アッシュたち…白銀騎士団と旅を始めた。
私は、ただ憧れていた騎士になった事、魔術を使える様になった事は良いけど、ここまで進めた事に『意外』と言う言葉でしか表せない程だ。でも、まだ戦いには慣れない。と言うのも、今までその様な事はしていないから当然。
チルパさんが、「自分で武器を取るかを決めろ」と言うのは強く心に残っている。アニメで言う、名セリフってやつなのかな?いずれ、その答えを見つけるのだろうか?
私は打刀・日輪天空、脇差・月輪大地と聖槍と言われるロンギヌスを手にした。打刀と脇差は本当の性能は分からないけど、ロンギヌスは聞いた事がある槍だ。
一番印象に残っているのは、アーサー王伝説で主人公にして王のアーサー・ペンドラゴンが、カムラン丘の戦いにて、息子にして反逆者であるモードレッドの腹を貫いた武器。
ジュヌヴィエによれば、最大威力は計り知れないと言う。使う時は気をつけないと。それよりも、とても肌寒い…―
旅立って二日目の朝。焔は、珍しくスマホに書き続けている日記を納めて、ポーチにスマホをしまって荷馬車の上から景色を眺める。八月とは言えど、少し涼しい。元の世界とは違う気候もあってか、過ごしやすいと言う言葉が的確だった。
どこまでも続く平原、それを切り開く土色の道が騎士団をアルスターへの道を記している。
「焔~!」
と声がすると、アッシュが荷馬車の上へ昇ってきた。焔は「どうしたの?」と問うと、彼は「ただ、主の傍にいたいだけだ」と言った。
“これは、竜の子供としての本能?”と焔、
“焔。ここは、素直に応じてください”とレイは思考する。
「わ、分かった。良いよ。」
「ありがとーな!」
アッシュは喜んで、焔の隣に座った。彼は景色や空を眺める彼女を見て、「何故、いつも景色を眺めているのだ」と。アッシュはこれまで、城の中を歩く時や外食している時も、窓やバルコニーなどから町の風景や自然の景色を彼女がよく眺めているのを見ていた。
焔は数秒考えて、「景色を眺めたいって言うか。綺麗とか、見た事も無い景色を目に焼き付けたいと言うか」と少し答えづらそうだったが、彼女は—
「何でかは分からないけど、綺麗な景色を眺めていたいんだ!」
と言った。アッシュは「そうなのか」と言ったが、不思議そうに彼女を見ていた。
日は瞬く間に南の空の頂に到達した。
「アッシュ!起きて!もう、お昼ですよ。皆は、支度を始めてますよ。」
焔はそう言って、アッシュを起こす。いつの間にか、彼女の膝の上で寝てしまった様だ。彼はそれに気付いて、慌てていた。彼女の脳内では―
“やめてくれよ……膝枕は”とホムラ、
“恥ずかしかった……”と焔は思っていた。
そして、その日の夜の事。初めて見る星空に、焔は感激して外で焚き火に当たりながら眺めていた。夜はいつの季節でも冷えるが、今は冬に向かっているので少し肌寒い。しかし、乾燥していく空気として、眺める星空は悪くない。
「焔さん。」
「?……グリン。どうしたの?」
焔の隣にグリンがやってきて、彼女をそっと包んでくれる。どうやら、暖かくしてくれるようだ。彼女はグリンにありがとうと言う。
「そう言えば、なんだけど。グリンは、どうしてあんな怪我を…。」
「そうだね。僕は、この先、アルスター王国とインぺリウム・ローマの間にある山脈とその周辺を住処にしていたんだ。
でも、突然、ローマの方から兵士たちがやってきて、空を飛んでいた僕たちは狙われた。仲間が死んでいって、母さんも……。母さんに、逃げる様に言われて僕は怪我を負っても逃げ続けたんだ。」
「それで、あそこへ……。」
“なんてことを‼着いたら、説教してやる‼”と焔、
“気持ちはわかりますが、誰が行ったかです。皇帝が軍権を握ってるとなれば…”とレイ、
“そうだな。でも、今は今だ”とエフは思う。
「うん。アストルにも話したら、倍返しだぁって言ってた。」
「アストルらしい。私も、同じ気持ち。ローマで何が起こったかは、現地で調べる必要はあるかもしれないけど、その原因を解決してあげるよ。」
「あ、ありがとう!」
グリンは喜んで彼女を包み込む。この暖かさが彼女を心地よくしていた。
まずは、アルスター王国へ向かい、その次にインぺリウム・ローマ。何が待っているかは分からないのは当然。それでも、騎士団は、私…式守焔は歩み続ける。




