序節2 異世界にて
異世界のとある場所。
とある国、とある幻想的な場所で、世界の危機に抗う人が動き始める。
そこは、魔術で成立する世界。科学で生きる者たちにとって、幻想的とも言わせる場所であろう。その星に住まう人々は、世界を「幻想界」と呼んだ。しかし――
二つの大河に挟まれた国にて。
「世界の危機、か」
「王よ。何かの予兆をご覧になったのですか?」
巫女らしき女性が、玉座に座っている威厳のある青年に話しかける。彼は、答える。
「まぁな」
そして、その翌日。王と呼ばれた青年は宮殿前に民を呼び、演説を始めた。
「我の民よ! この地、この世界に危機に迫っている! ……だが、我々は、それに抗わなければならぬ。我々の力を、見せるときが来た‼ この世界の平和を守り、人の時代を築くのだ!」
『おぉ! ◯◯◯◯◯◯◯王‼』
民の皆は、王の言葉に声を挙げ、共に戦うことを決めたのだ。それは、彼の王だからこそ出来る事である。
また、別の場所では。美しい花が満ちていて、そこに聳え立つ塔の中で話が行われていた。理想郷とも言える。
「いやぁ、厄介なことになったね」
「如何なさるか、魔術師◯◯◯◯」
美しい装飾の半仮面をつけた少女は、フードを被った者に尋ねる。フードを被った者は青年に見えるが、実年齢は本当の爺である。
「世界の危機……その兆しさ。原罪の獣が、復活する」
「何?!」
少女は驚く。青年は静かに頷いた。
「あぁ、原初の神が目を覚まそうとしている。それに、消滅した堕落のもね。だが、あと貪食の獣は難儀だ」
「難儀、か。それは。原罪の獣に対抗として、どうするのだ?」
「そこは大丈夫だよ。創造神・光神…アフラ=マズタがこの世界の者でない人間を探している様だ。心配は無い。まぁ、ピンチの時は理想郷から、駆けつけて助けるけどね」
青年はそう言う。少女は――
「年頃の女子ね。私も先程見たけど、貴殿が何か企んでいたら容赦はしない。貴殿は、女性に対して危なっかしい行為をしてきたのですから」
と目を鋭くさせて言う。青年は困ったなと思いつつ、微笑んで言う。
「嫌だな。君にそこまで言われると……気をつけるとしようか」
「宜しい。けど、貴殿の名を聞いたら、間違いなく辛辣発言するね」
少女の発言に、青年は困ったなのかよく分からない微笑んで言う。
「……うーん。そのようだね。会える日を待って、行く末を見守るとしようか」
読んでくださいまして、ありがとうございます。今後も、頑張って書いてきいます!