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ノヴァゴーレム戦記 ~美少女ポンコツ魔術騎士がいく~  作者: とむ熊しのぶ
王立学園 初等科編
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012 招待


週末の朝、私は鏡の前で自分の姿とにらめっこしていた。


例のアル兄さま招待の食事会があるからだ。


私は、ベージュのタイト気味のニットのワンピに、白のロングタイプのカーディガン。おそろいの皮のチョーカーとブレスと細いベルトには、金の細工の小さい飾りがついている。


かなりカジュアルな店なので普段着で来る様に言われているが、幾らカジュアルと言っても、普段の田舎娘の様なシャツにズボンという訳にはいくまい。


ユーリさんに相談したところ、彼女のコーデでこうなった。


アクセサリー類は全部彼女に借りたものだ。


ニットのワンピはかなりボディラインが強調される上に、結構なミニだ。というかズボンと組み合わせる前提で買ったのだが、これが本来の着方だとユーリさんに押し切られた格好だ。ぶっちゃけ、足丸出しなんですけど!


流石に恥ずかしいという事で、「生足は若い娘の特権よ」という彼女を説得し、薄いニーソを履いたのだが逆にエロい気がするのは気のせいだろうか。


まぁ上から冬用のコートを着るからまぁいいか。



そうこうする内に、呼び鈴が鳴って、親友二人の来訪を告げた。


アル兄さまが馬車で迎えに来ると言うので、三人は家で集合する事にしたのだ。二人は家が近いので連れ立ってきたのだろう。



登場した二人は、それぞれがそれぞれらしい格好だった。


アイはパンツスタイルのスーツで、少し気崩してシャツの胸元を大胆に開けている。男物のカッチリしたコートと帽子でもかぶれば、男装の麗人の出来上がりだが、さすがにそこまでする気は無いらしく柔らかい女性らしいシルエットのコートを羽織っていた。それでも両手をコートのポケットに突っ込んでいる姿はまるでやんちゃな青年の様だ(笑)


一方エリーの方はスカートがふわっと膨らんでいるブルーの華やかなミニのワンピで同色のジャケットを着ている。実に女の子らしい。襟元にファー(本物の毛皮かも)が付いたオフホワイトのコートは羽織らず手に持っている。その所作はとてもお嬢様らしい。


カジュアルというか、知り合いの結婚式か?という感じだが、そこは伯爵家の超が付く程のお嬢様である。彼女にとってはギリギリのカジュアルな装いなんだろう。私と逆の方向で頑張った後が見られるので「可愛いわ」とだけ伝えるにとどめた。


エリーも私の姿を見て「あーちゃんもとっても可愛いわ!」と素直に言ってくれたのだが、アイの方は私の腰のあたりに視線を落として、「エロいわね」とぼそりと言った後に、ニヤリと笑った。


だからそんな事言わないでー!


私は思わずスカートの裾を抑えてしまった。全く遠慮がないのは相変わらずだ。



そんなやり取りを玄関でしていると、ちょうど向かえと思われる馬車が家の前に着いた。


馬車の扉が開かれて、てっきりアル兄さまが出てくると思きや、中から出て来たのは妙齢な美女だった。豪奢なブロンドを勿体なくも短髪に切りそろえ、スカートタイプのスーツを身にまとった彼女は、ライナ・バレイ。お兄さま付き秘書を自称している。


一見地味な格好に見えるが、中身が超美女なので、色っぽさがそこかしこから零れ落ちている。恐らくだが私はアル兄さまの恋人ではないかと思っている。ここ数日は見かけなかったが、割と公私関係なく一緒に居る事が多いので間違いないだろう。


「ごめんなさい。子爵様は少し手が離せないの。レストランで合流するから代わりに迎えに来ました。どうぞお乗りになって」


そう言って私達を馬車に誘う。小娘相手に丁寧に対応するライナさん。勿論私とも長い付き合いなので、気安い関係だが、いつもこんな調子である。


馬車に乗り込む直前に、私は、彼女とアイとメリーにお互いを紹介する。二人に対しても勿論丁寧に対応する彼女だった。



出発した馬車は王都の繁華街に向かって進む。


休日という事もあって、人が多い。レストランも繁華街だそうなので、帰りは三人で買い物して帰っても良いかもね。


馬車は大通りで停車し、我々はそこで降ろされた。


流石に人が多すぎて、これ以上の馬車の乗り入れは無理だそうだ。その辺は貴族の馬車といえども弁えている。無駄に横暴な貴族など王都ではめったに見かけないぐらいには我が王国は文化的なのだ。



大通りから一つ辻を入ると、程なく目的の店らしきもの見えた。


物凄い人が並んでいる。うわ。こりゃ王都一の人気の店というのも頷ける。


しかし、こんな人気店を子爵家の力で予約を入れたのか?エリーの機嫌がちょっと心配ね。等と考えていると、列の先頭付近からこちらに手を振っている男性がいた。


アル兄さま?もしかして朝から自ら列に並んでいたの?まさか手が離せないってこの事か?


「いやぁ。人気があり過ぎて今は週末の予約は取っていないらしいんだよ。」


いやいや、だからっと言って子爵様自らが並ぶなんてあり得ないだろう。誰か人にやらせればいいじゃないの?


「いやいや、仕事じゃないのに、工房やアカデミー(魔道大学。彼はそこの教授兼理事)の者を使う訳に行かないだろう。」


まぁそれは判るが、ライナさんは使いに使っているのは良いのか?


「私は子爵家付きの秘書ですから。それにこの店の食事をご相伴にあずかる事で手を打ちました。」


なる程。判り易い(笑)


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