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ユメトキドキ ~この異世界の果てに~  作者: ぴい
第1章 夢から覚めて
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第1章 006 〜パーティ結成〜

 




「ーー食事や衣服まで頂いてしまって、すいません。本当に何から何までありがとうございます。」


 レンは湯浴みをさせて頂き、食事、それに衣服まで与えてもらった。 少女の父親が昔着ていた服だそうで、サイズ感こそ少し違ったのだが、わざわざ手直ししてくれた。


「いえ、こちらこそ本当にありがとうございます。もっとゆっくりしていって下さっても良いのですが…そういう訳にも行かないみたいですね。 何かあればまたいつでもお越しになって下さいね」


「うん! お兄ちゃん、また来てね! 今度はゆっくり遊んで欲しいな」


 その厚意につい甘えそうになりながらも、レンはそこまでして貰うわけにもいかない。 自分がこの世界に来た目的もわからずじまいなのだ。このままこの小さな町、アーレスでゆっくりと暮らす訳にも行かない。


「本当にありがとうございます! とりあえずはさっき言ってた王都へ向かってみる事にします」


 この国一番の王都。ディオスがという街があるのだと食事の最中に教えてもらった。 とにかくレンは何でもいいので情報が欲しい。 その為に大きな街へ行く事は必然的な事だろう。


「王都への道はまだまだ危ないので…特に夜は気をつけて下さいね」


 二人に別れを告げ家を出た。 風呂にも入り着替えも出来たのでレンは清々しい気持ちで背伸びをし、ニーチェを呼んだ。


「おいニーチェ! もう出てこいよ」


 ニーチェはなんとレンの影に中に入り隠れていたのだ。


『やあレン。 久しぶりぃ〜…でも無いかぁ』


「正直ビックリしたよ。 お前、影の中とか入れちゃうんだな」


『まあねぇ。 基本的には僕も外界に居たいんだけどね。 なんかあっても嫌だし、緊急避難だよぉ』


「緊急避難ねぇ。 まぁそんなに警戒する事ないと思うんだけどな」


 レンにはニーチェが何を警戒してるのかわからなかった。 まぁその可愛らしい姿を見た人間に弄り回れるのが嫌なのだろうと、レンの中で納得させた。


「ーーそのディオスまでは歩いて2日は掛かるみたいだけど、…まぁ行くしか無いか。 幸い時間に追われてる訳でも無いしな」


 歩いて2日の距離など、元の世界ではその距離を歩くなど考えるだけでも即却下レベルだ。 しかし、異世界へ来た開放感からか不思議と足は進む。


 町の出口、湖が見えるところまで来ると美しい青髪の彼女、エマが居た。 腰に手を当ててこちらを見ている。


「お、やあエマ。 こんな所でなにやってるんだ?」


「なにって、あなたを待っていたのよ。 ーー着替えたのね。 なかなか似合うじゃない」


 昨日はレンの申し出を冷たくあしらった彼女が、今度はレンを待っていたとの事だ。


「一体どうしたんだ? まさか…俺に会えなくて寂しくなっちゃったか?」


 などと軽口を叩くレンにエマは意外にも


「そうよ。 ただ変な勘違いしないでよね。寂しかったのはほーんの少しで、結局は精霊を連れてるあなたと一緒に居るのが一番いいと思っただけよ。 出口に来たって事はやっぱり、この町を出るのでしょう? 私も連れて行くといいわ」


 そんな感じに微妙なツンデレ具合で同行を願いたった。


「昨日はあんな言いようだったのにどう言う風の吹きまわしかな? まぁ俺としては君と一緒に冒険出来るのは大歓迎だ!」


 そう言うとニーチェによく似た黒い精霊、シャルが出てきた。


『僕がエマに話したんだよ。 この子少し素直じゃないからね』


「お前が言うかねぇ」


 昨日のシャルの態度から、この二人はなかなか似ているのだなとレンとニーチェは顔を合わせた。


「とにかく! 念願の仲間ができたのは感激だよ! 四人で仲良くやろうぜ!」



 ーーーーところで。っとエマが口を開く


「まずはどこへ行こうと思ってるの?」


「ああ、この先にディオスって言う王都があるらしいんだけど、まずはそこに行って情報収集をしようと思ってる」


「ディオス? へぇ。そんな所があるのね。」


 ポカンとしてるエマは、どうやらディオスを知らないようだ。


『エマはとは一年くらいここに居たけど、町の人とはほとんど交流せずに居たからね。正直この世界の事は僕らもわからない事だらけだ 』


「交流せずにって、どうして? 」


 レンが不思議そうに質問する。


「まぁ乙女には色々なるのよ!」


『エマはちょっとコミニケーションがうまく取れなかっただけだよ。それでエマなりに仲良くなろうと思ったけど天邪鬼にイタズラばっかりしちゃって。 それで一方的に嫌われてると、この子、勘違いしちゃってたんだよ』


 仲良くなろうと思ってイタズラって…小学生の男子かよ!と言いそうになるのを堪え


「そうか。 まぁこれからは俺も一緒だ。 その辺もうまく立ち回っていこうぜ」


 レンの真っ直ぐなその言葉にエマは少し顔を赤くして頷いた。


『レンも隅に置けないねぇ』とニーチェが冷やかす。


 そんな会話をしながら町を出る。


 レンとエマ、そしてニーチェとシャルの冒険が始まるのであった。













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