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27 異世界国内グループ旅行

「沖縄旅行だ~」


 数か月後、私がこっちの世界に来てからずいぶん経つ。関東は冬真っ盛りと言った空気だが

 私たちは沖縄に向かう車の中。

 メンバーは私、鈴木さん、猫本さん、音山さんの四人。

 集団生活できる自動運転車を貸し切っての旅行だ。


 自動運転車の内訳はこんな感じ


 寝台車。一車両。

 鍵のかけられる寝室四部屋が詰まっている。


 浴室。一車両。

 広めの浴室一つ、トイレ四つ。洗濯機一つ。

「前に皆で入院した時の車両は一人一部屋シャワートイレ付きだったけど~

 でもそれだと倍以上の値段かかっちゃうし、バラバラに乗らないと三両で収まらないんだよね」

 というわけで話し合った結果。みんな一緒のお風呂でもいいやということでこの配置。


 キッチン一車両。

 椅子とか机とかある。ご飯とか食べるときとかはここだ。



 これらを連結して旅をする。



「自分のベースもついてくるように設定した方がいいよ~。

 多分一日半ぐらい遅れてくるけど、出先で何があるか分からないし、忘れ物した!って時も間に合う事多いからね~」


 そんなわけで私たちは特急を使う。

 超巨大な新幹線みたいなのに車両ごと乗り込んでびゅーん。という仕組みだ。

 乗り換えも自動でやってくれるのでずーっと自動運転車に乗ってればいい。


 その間に私たちのベースは下道をとっとこついてきてるはず。大丈夫かなぁ、がんばれ。


「ああ、朝ごはんがまだですし、次の乗り換えで少し寄り道しましょうか?」

 猫本さんの提案。

「そうだね~、何かおいしいご飯食べたい、あんまり冷蔵庫にご飯入れてこなかったからな~」

 鈴木さんお菓子しか入れてなかったもんね。私に至っては手荷物しか持ってきてない。

「ちょうど名古屋ですね、味噌カツ食べましょう」

 音山さん何故か肉食系っぽい。朝だよ!?


「ええ、どこかお勧めのお店はありますか?」

 皆で名古屋のよさそうな場所の話をしたり検索したり。



「おいしかったね~」

「ええ、パンがふわっふわでした」

「味噌カツは思わずキャベツも一緒に買っちゃったね~」

 何でキャベツ?


 私、名古屋のモーニングって向こうの世界じゃ有名だったからそっちを提案したんですよ。

 何故かカツとでっかいトースト両方食べに行くことになったんですよ。

 味噌カツもおいしかったです。


「カツは途中で食べるとして~、キャベツどうしようか?」

 テンション上がるとよく分かんないもの買っちゃうけど旅先でキャベツ一玉はどうかと思うよ。

 まぁ何とかなりそうなものは買っておいた、キッチンの仕様上全部鍋に入れて専用の加熱器で加熱するだけなんだけど。

「……回鍋肉の材料も買ってきたけどいる?」

「いる~!」


 しかしこの、食器を洗う時『汁物の残りは高吸水性ポリマーの袋に入れて』『他は紙でほとんどふき取って、できるだけゴミ箱へ』『洗剤でごしごしは最後』っていう仕様。まだ慣れないなぁ、

 いきなり水だばーってして洗いそうになる……。これやっちゃうと排水口全部掃除しないといけないから気をつけないと……。


 景色を見たりお昼寝したりお菓子をつまんだり数時間。

 何度か乗り換えをしたけど降りる必要が無いから一向に煩わされない。

 ちなみにこの車両、ETCカードみたいなのが刺さっていてあらかじめ全員で同じ金額を入れてます。乗り換えの度に運賃はそこから引き出される設定。便利。


 今はあちこち車内をウロウロしながらキッチン兼食堂に集まって景色を見てる所。高速車両内からでも眺めは抜群だ。

「結構前に桜島の側を通ったから~今、九州の南の端だね~。

 あ、見えてきた」



 見えてきた?と見ると大きな透明な……ビル?いや……


「橋!?」


 ビルと見間違えるようなでっかい柱に支えられた、ビルの上にかかるようなこれまたでっかい橋!

 しかも他の自動運転車専用高架道と同じように透明!

 絶景だろうけど……これは高所恐怖症の人はめっちゃ怖いのでは……。


「この橋はね~、屋久島の側とか通りながら沖縄まで続いてるの」

 まじか鈴木さん。

「最近はね~、大体どこの国でも領海だけ繋ぐっていう約束で離島の近くまで橋が架かってるよ」

 まじかよ鈴木さん。


「あの根元はメガフロートなんです。半潜水型なのでパッと見では分かりませんが、いざという時の建て替えがすぐにできるようになっているんです」

 音山さんも解説してくれる。台風来るもんね~と思いつつ……大丈夫なのかな……。


「はい、できるだけ大型船舶も通れるように高さ200mあります」

 猫本さんも教えてくれた。

 ……それって多分あの透明な柱の一本一本が東京の比較的有名なビルぐらいの大きさあるよね?

 その上に渡された透明な道路を走るの……怖すぎるのでは。


「さすがに凧帆船は引っかかっちゃうから不評らしいけどね」

 たこはんせんってなに?蛸?って思ったけど、帆の代わりに凧で風を受けて船を引っ張る事で燃料を節約する技術があるんだそうだ。


 少し不安になりつつ東京のビルみたいな、らせん状の道路を上がったら……




「うわー!」


 絶景。


 一面の海。青い海。遠くに見える白い船が抜群のコントラスト。


 青い海の上空200mを滑っていく不思議な感覚。


 その時、橋の横を、下からふわっと巨大で透明な丸い物体が浮き上がっていった。


 え?何?巨大クラゲ??!


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