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20 異世界書店

 私は何故かパラレルワールドに来ちゃった一般人。三崎みさき ひかる。ただいま異世界の社会科見学も兼ねてデパートを案内してもらってます。


「あれが書店です」

 音山さんの案内で見つけた書店に愕然がくぜんとする。


 私の世界でも書店の苦戦はたびたび報じられてたけどさ……!本棚薄くない?いや、よく見たら壁紙とパネルだわあの本棚!!本一冊もないじゃん!!立ち読みしてる人達はあのでかい本どこから持ってきてんの!?


 本棚とは名ばかりのパネルを背に、そこそこの大きさの本を立ち読みする人達。

 何なんだこの異常な空間は。


 しかし、何だかんだ言ってみなさん本は好きらしく、立ったままじっと本を読んでいる。

「四人分くださ~い」


 鈴木さんが小声でカウンターの人に声をかけると、紙カバー付きのでかい本を渡された。一冊百円。

 いや、私知らんよ、いきなりこんな辞書みたいな重厚そうな本を渡されても……と思ったけど周りをよく見ると他の人が立ち読みしてる本ってこれか、この書店のカタログみたいなものなのかな?


 とりあえず皆に合わせて本棚(?)の方に行き、重厚そうな本を開く



 本を開こうとすると……これ、本じゃない……電子書籍の端末?

 というか、注文用の端末?


 開いたところに本の目次っぽく新書、コミックス、雑誌とか書いてもだめだぞ。

 タップしたら出版社名とかタイトルとか表紙とか出てきたから、お前、自分を本だと思い込んでるけど回転寿司の注文用端末と同じだぞ。


 これなら通販サイトでいいよなぁ、何のために本屋さんまで来たのやら……と思いつつ欲しい雑誌を探してクリッククリック……え?雑誌開くの?読めるの?最新号のマンガ。


「あの、鈴木さん。雑誌って読めるの?」

 隣に居た鈴木さんに小声で話しかける


「読めるよ~、本屋さんの中でなら全部読めるよ~。本なのに中身確認しないで買うわけにいかないでしょ。撮影は駄目だよ」

 小声で鈴木さんが答えてくれたが……


 いえ、私の居た世界、コミックスはフィルムに包まれてて全く読めないんですけど、昔は読めたらしいけど1990年代後半ぐらいから?カバーで包まれるようになったらしいんだよね。

 だから十巻超えるとよっぽど応援してる作品以外は面倒くさくなって買わなくなった。何巻までそろってるか忘れちゃうんだよね。

 あと、元の世界は雑誌も大抵紐で縛られてて読めない。CDじゃないけど、いわゆるジャケ買い推奨状態で新しく買う気が全く起きなかったのでマンガは早々にネットで通販にした。履歴で過去に買った巻が分かるし。

 ……だから結局、たまたま読んだ試し読みか話題になったマンガしか買ってなかったな。


 寿司屋の端末とか言っててすいませんでした。端末で寿司は味わえない。


 中身を読んで確認していいなら心置きなく読もう、向こうの世界でやってた連載がこっちでやってるとは限らないし。


 ……この雑誌……元の世界で連載終了したはずのマンガが連載してるんですけど、そして面白いんですけど。

 今何巻まで出てるのかな?ついでに私が向こうで買ってた作品、何巻まで買ってたか確認しておこう。

 こんなことも別窓で一発検索、コミックスの中身も読んで確認できる、便利だな~これ。……待って、私の読んでた漫画、途中からだいぶ展開違う。

 こっちの話の方が好きだけど向こうの話は二度と読めないとなると、ちょっと寂しいものがある。


「買いたい本を見つけたらどうすればいいのかな?」

 鈴木さんに小声で話しかける。何か購入に進むとよくわかんない項目があるんだよ。

「え~ちょっとまって~」

「あ、書店だとお喋り原則禁止とか?」

「いえ、そんなことはないですよ」

 猫本さんはチラッと上を見る

「ええ、とりさんが静かなのでまだセーフですね」

 とりさん?猫本さんのコメントに思わず上を見ると……鳥だ。というか精巧なセキセイインコの模型だ、何でこんな所に?

 鳥さんの役目はすぐに分かった



「おとーさん!!」

 書店の隅で小さい女の子が大声を上げた。

『おとーさん!!とーさん!!さん!!』

 次いで反響するように鳴り出した音は

「とりさん…?」

 そう、あちこちに設置してある鳥さんが女の子の声と全く同じ音量を再生している

「人間は自分が喋っている内容を0.数秒後に聞くと、続きが喋れなくなるという性質がありまして、ある程度静けさが好ましい店舗や公共施設はそれを利用しているのです。

 店内のBGM音量のチェックなども担っていますね」

 しかしちびっこもさるもの。

「つ!」

『つ!』

「か!」

『か!』

「れ!」

『れ!』

「たー!」

『たー!』

 かめは〇波か。


 一文字ずつしっかり発音することによって鳥さんを味方につけ、疲れている旨をがっつりとお父さんに伝えたちびっこ。お父さんも諦めて精算もそこそこに女の子を抱き上げて書店を出ていったのだった。

「これが設置されている場所では速やかに静かにするか退店するかしないと営業妨害で警備を呼ばれる事もままありますので」

 どこの世でも小さい子を抱えたご両親は大変だなぁ。



「ええ、何の話でしたっけ?」

「あ、猫本さん。欲しい本があったんですけど、購入の仕方が分からなくて」

「ああ、カートに入れればカウンターに注文書を返す時に清算できますよ」

 注文書これか。今手に持ってる電子本か。


「この購入の後の入力がよく分からないんですが……」

「はい、商品について通常書籍、マイクロ書籍、電子書籍をお選びいただけます。

 通常書籍の場合は印刷と配本にお時間をいただく場合がございますので店頭受け取り、または、指定のロッカー受け取りかを選択できます」

 猫本さん、本屋さんで働いてた事あるのかな……そして、またここにきて知らない単語が出てきたぞ、商品に何種類かあるのまでは分かったので詳細をお願いします。


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