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18 異世界労働

「よいしょぉ!」

 土に深く刺したフォーク型の鍬を起こす。お芋さん大量。

 いきなりパラレル日本に来ちゃってどうやって生活しようかと思ったけど、簿記|(というより加減乗除など最低限の計算)、翻訳補助語|(というより最低限の読解力)、法律|(というより労働基準法や社会制度の簡単な理解)の検定の最初の方の段にサクッと合格した結果。


 基本職が解放……もとい国の提供する基本職といわれる業務につける事になりました。三崎みさき ひかるです。


 市役所でもらった基本職の免許をかざすとピッと鳴って入場。これがタイムカード代わりらしい。

 用意された服に着替えて、工場内に停められた長ーい車両に植わっているお芋をひたすら掘り起こす作業です。時給の千円に加えて出来高制。


 鎧装、パワーアシストスーツのお陰でほとんど力は要らないんだけど、バカでかい鍬を起こす時は思わず力が入る。

 この現場ではプライバシーレベル2の鎧兜拡張装置、つまり防犯カメラと一緒に装着義務付け。体温とかも測って疲労度をチェックしてるらしいけど詳しい内容が分からなかったので割愛。


 お待ちかねのパワードスーツです。

 真っ白で軽い、いかにも外骨格ですといった感じの機体。

 鎧装は座ったポーズで一人で脱ぎ着出来る設計になっている。座っている鎧装に二人羽織するように座り。靴のままサンダルみたいなのを履いて足、ふくらはぎ、もも、腰、胸、二の腕、手首にサポーターみたいな、ベルトみたいなのを巻いたら装着完了。


 力を入れるとき腰に負担がかからないようにバランスを取ってくれたりして、空気椅子でも辛くない、むしろ椅子に座ってるような感じでいつでも休憩できる

 パワーアシストスーツとは言ってもすごい勢いで走ったりジャンプしたりはできない、完全に基本的な動作の補助、という立場だ。

 お散歩用買い物カートってこういうことか。


『ピピピッ』

 自動操縦でついて来ている台車から音が鳴った。お芋さんを回収したいという事の様だ。

 台車の持ち手ににこんな顔(||)が付いてると思ってほしい。これがたまに「ピッ」とか「ピピッ」とか言う。かわいい。


 台車に収穫物を詰めると、重量オーバーになったのか外に向かっていく。

 多分ベルトコンベアーに収穫物を流した後また戻ってきてくれるでしょう。このパワードスーツについてくるように設定されている様で、どこまでもついてくる。かわいい。


 お芋は全部掘り起こしたので次の車両に移る。次の車両の作物は


『トマトです』

 さすがに見れば分かる。


 誰が喋ったのかというと、今被っている鎧兜拡張機能のAI。

 基本的に、解説はAIが決められた内容を流すだけ。

 ただし、プライバシーレベル2のためオペレーションルームにも繋がっていて、向こうから作業状況も見れるし何かあったときは即座に対応してもらえる。


『このように、実を手で軽くつかみ、カメラに映るようにしてください。AIセンサーが実の状態を識別して摘果してよい状態かどうか判別します』

 目の前に人影とトマトが現れ、人影がトマトの実を調べる動作を行う。

 最初はびっくりしたけどヘルメットの機能を使った、AR、拡張現実というものの様だ。

 ARの映像に近付くと人影の手元までよく見える。多分もっと複雑な作業を説明する事も想定されているんだろう。

 作物が熟してるかどうか、トマトなら赤くなるから私だってわかる。しかし、マイナーな植物の収穫時期なんて流石に分かんないのがあるだろう。


「OK」

 OK、はい、分かった、などの音声に反応して次の説明に移る、手順を見ながら進める事も可能な仕様なんだろうと思う。「メニュー」とかで再び説明を出したりもできる。


 台車くんもトマトを傷つけない柔らか素材の箱とはさみ、スポーツドリンクを持ってきてくれた。有能だ……。


「じゃあ進めますか……」

『ピピピッ』

「ん?」

 休憩を取ってください?要らないけどなぁ……と思いつつ休みに行くと。


「うわぁー意外と疲れてた。スポーツドリンクおいしい」

 パワードスーツを脱いだ瞬間、休憩所でスポーツドリンクを飲んで力尽きる。

 意外と疲れてた。意外と体力使う。

 もうだめだ……体全体がだるい……貧血の様だ……と、数分つっぷしていたら回復した。

『低血糖状態と推測されます。食事をとって休憩してください』


 何で分かるの?そんな事。

 若干重い体を動かしつつ社食に向かった。



 トマト畑の次は、果樹。

 基本的にはトマトと同じ、背の高い樹は脚立を使わないといけないけど電車も停車してるし、そんなに高くないから怖い事はないな。

 しかし作業環境は覚悟していたよりよっぽど快適。虫とか覚悟してたけど全くいないし無農薬。ちょっとした踏み台で果樹のてっぺんにも届く。これは向こうの世界で夢見られてたスローライフに近いのでは?



「と、いうような感じで仕事はしているんですよ」

 最初に会った鈴木さん、猫本さん、音山さんの三人にはお世話になっている事もあって、こまめにやりとりをしている。

「ええ、色々体験するのはいいことです」

 猫本さんは救急隊員やってたもんな。

「今の所トラブルには遭っていないようで安心しました」

 警察のお世話になるような事態にはなってないです音山さん。私が今利用してる営業所が良い所なのかな?ブラックな所とかもあるの?

「じゃ~さ、今度遊びに行こう」

 鈴木さん相変わらずだなぁ。誘ってもらえると私もうれしい。

「いつ頃がいいですか?」


「一週間後空いてる~」

 鈴木さんの返事が返ってきた。


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