表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮想箱_synonym  作者: キノミ
SandBox
7/82

07_SandBox_04_


 フェードアウトした意識は別のところで再構築された。


 頭部まで覆う襤褸切れに身を包んだ人影が一つ、かつて胸像だったものを見つめている。私はやはり少し高い位置から人影を見るように視点だけを貰い、身体は与えられていない。

 

 砂に埋もれた石材の床と僅かばかりの柱群が世界の背景として大雑把に描写再現されていく。荒漠な砂の海、長い時の流れ、微かな文明の跡。

 顏の部分は欠けており、脆く崩れた石の塊が女性の上半身を象っていることは近付いて注視したところで気付けないかもしれない。だが、人影はそれがかつて何であったかを知っていた。元は翼を持っていた。今それが悲しい表情をしていることも分かっていた。


 人影は崩れた胸像に向けて力を込める。すると胸像が元とは反対の方角を向いた。それはやがて日の昇る方角であると私にも分かった。

 その人影の表情を窺おうと視点に意識を向けた瞬間、場面空間がそれを避けるように次へと向かう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ