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7.なんか前世の学校の身体能力テストってこんなんだったな〜


この世界には、魔王がいる。そして勿論攻略対象だ。けど残念ながらラスボスは攻略できなくなった。10数年前魔王討伐の為に召喚された聖女が魔王を浄化し人間にした。そして元魔王は聖女と結婚し魔導師団長となり、愛妻家で子煩悩である。


魔王がいるってことは魔物がいるわけで、この世界の人間は魔法を使えるという中二心くすぐられる設定だ。勿論乙女ゲームなので、ヒロインが強い設定だ。


魔力は水・雷・火・風・土・氷・光・闇がある。それぞれにランクが付いていて、ランクが低いとそのぶん使える魔法が少ない。S〜Eに分かれていて、何か一つの属性でもBランク以上だった場合は、この魔法学校に入学することになっている。皆ほぼ1属性しか持っていないが、人によっては1~3、4属性持っている者もいるが、魔導師の上官レベルだ。そんな中でも、光と闇は激レア!ランクがEでもちやほやされるレベル。そんな中、ヒロインは光の魔力を発現させた。しかもSランクで、水と氷属性のBランクを持っていた。つまり3属性持ちでしかも光のSランク魔力量がパない。流石はヒロイン。チートだ。こんなチート能力はヒロインだからこそだろう。...普通のモブが持ってちゃいけないと思う。


何が言いたいと言うとね、私の方が目だってどうすんのってことよ。








「これよりAクラスBクラス合同で魔力測定を行う。席順に並べ!」


先生の声が広い体育館に響く。

今日は予定通り魔力測定がある。合同なのは、他クラスとの交流を〜的なやつだが、まず自分のクラスにも慣れてないのに、と思ってしまうがこれもご都合主義なのだろう。

1クラス数列になってAクラスの先頭の列から一人一人前に出る。最初は、皆がだまって前に出ている人に注目していたが、10数人目から飽きてきた人達が口々に話し始める。私も飽きてきて気が緩んでしまい、思っていたことを、うっかりと口に出す。


「「なんか前世の学校の身体能力テストってこんなんだったな〜」」


声が被って思わず声がした方に目を向けると


「やっほーエルっち!終わったから来たよ〜」


真後ろににエリーがいた。


「おい、驚かすなよ!っていうかいいのか?隣のクラスだろう?」

「他の方達も結構移動してますよ。というか先生の視線じゃなくて、今は女子の羨望と嫉妬の視線が痛い。初日からモテモテですね!.........なんかその顔で男言葉ってドキッときますね。」

「はあ?そんなにモテてないぞ?皆から見られてるのはこの髪と瞳だろ?あと、エリーが可愛いからじゃないか?..........いやー、男装って前世からの憧れだし、家でも令嬢として扱われた頃はなかったしねー。両親はマナーより、魔法を教えてくれたから。」


そんな感じでエリーと話していると、周囲がざわっと騒がしくなる。なんだ、と疑問に思い生徒達の視線を追う。その先には、測定器に手を当てているヒロインがいた。水晶型の測定器は光属性を表す白の光を強く放っていた。測定器はその人が持つ魔法の属性の中で一番ランクが高い属性を表す光を放つ。そのランクによって光の強さが変わる。


「ゲーム通りね。えーっと光のSランクだっけ?さすがヒロイン!」

「次のイベントは、ステータスを皆に見せてたら昨日あった王子様に声をかけられて、ワタワタしちゃうって感じだったよね?」

「そうそう!王子様は小動物的な主人公を見て微笑むんだけど、その慈愛に満ちた目がたまりませんわ!」


キャー!っと2人で小声で騒ぐ。

前回は鼻血を出してしまって撮れなかったスチルを、今度こそ絶対取ってやる!


そっと皆に囲まれているヒロインに近寄る。相手に気づかれないようにそして、ゲームのスチルを取れる場所で止まっていると


キターッ!我が推しキャラ(王子様)


皆が王子に気づくとすっと道を開けていく。ヒロインも気づいて、昨日会った人物だと気づくと、少しワタワタし始める。


「やあ昨日会った子、だよね。さっきはすごかったね。 僕はアルト。この国の第二王子だよ。」


よろしくね。と言う王子にヒロインは顔を真っ赤にして答える。


「わ、私はリリア・ディーボルトです。」


にっこりとほほ笑む王子様と真っ赤な顔でワタワタするヒロイン。最高のスチルや!顔も声もイケてる王子様最高!小動物系の声が似合う声優さん最高!


ギリギリのところで鼻血を止める。そしてスチルを撮る。このシーンは是非とも母さんにみせなければ!


「おう、エルっちや。心の声が漏れとるぞ。確かに声優さん最高ですな。けど、そろそろお時間でーす。次エルっちの番よ。」


はっと顔をあげると、私の前の子が測定していたため私は泣く泣く前に出る。

前の子が終わり、私が水晶型の測定器に手を置くと、強く黒と白の2色を放ちながらどろりと溶ける。


へっ?自分でも訳が分からず、そばにいた先生の顔を見るとポケーという効果音が似合う顔をしていた。慌てて手を離すと、水晶は何もなかったかのように元に戻っていた。


そして気づく。広い体育館が静まりかえっていること、そして皆がこっちを呆けた顔で見ていることに。


やべえ…ヒロインよりも目立ってる?


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