6.全寮制なのは乙女ゲーム仕様だから
まあ色々あって入学式も終わりましたよ。クラスはエリーと離れてしまった。エリーとヒロインがAクラスで、私と王子様がBクラス。
やばい。推しキャラと同クラなんて!鼻血吹かないようにしなきゃ。あと、私は今男装してるし。これ、重要。
私は後ろの席の窓側席で、王子様は私の列の一番前。出席番号ってこの世界にもあるんだね。今は自己紹介中。懐かしいな〜前世では自己紹介でオタ友募集したな〜。
そんなこんなで、次は私の番だ。両親からは「最初が肝心だ。絶対に舐められるな!だが、差別は絶対にするな。」とよく言われるから、テキトーに釘さしときゃいいだろ。
「僕はエル・ブロッサム。魔法が得意でーす。我が家の教えは実力主義なので、大抵力で解決しますんでよろしく!あと、うちの家ってよく成り上がりだなんだって言われますが、気にしませんし、うるさかったら実力行使に出ますんで気をつけてくださーい。」
おっと、軽い口調で大丈夫かと思ったろ。この学園は表面上は無礼講的な感じで身分を気にしない。表面上は、だが。結構差別とかあるらしいけど、さっき言ったように実力行使に出ればいい。それに我が家は、父と母の功績で爵位をいただいた、武闘派貴族だ。しかも伯爵位。簡単には手は出せない。だから、楽に行こうぜ的なノリ。堅苦しくしても友達できないと思う。ちなみに軽さは、父を基準にしてるから、多分大丈夫。
皆がこちらを見てぽかんとしてるけど、男装バレてないよね?多分今の軽いノリと...ああ、髪か瞳のことかな?
「この黒髪は母さんの故郷では珍しくないから、死神とか変なあだ名つけないでねー。あと瞳は父さん譲り。綺麗なワインレッドでしょ。あだ名はかっこいいのだったらなんでもいいよー。まあ、エルって気軽に呼んでね!」
私の黒髪と綺麗なワインレッドの瞳は結構珍しいらしい。けど、中二心をくすぐるので私は好きだ。死神と言うのは、私の好きなキャラを冒涜するので許せん。
私の自己紹介も終わり、席に座る。前を向いた時に王子様と目があい、にこっと微笑まれた。ふあああ〜イッケメーン!だが、声優萌えな私にとって容姿は関係ない。今は男だから、側近として近づけるようにしないとなー。けど、彼の隣ってめっちゃ目立ちそう。私は平和に生きたいから、やっぱクラスメイトってだけでいいかなー。
「明日からは、魔力測定を行う。以上、解散」
考え事をしている間に、自己紹介は終わっていた。今日は入学式があった後に自己紹介だけという、早帰り設定だった。このあとは、寮で荷解きをする。
この学園は全寮制だ。乙女ゲーム仕様だからな!一応全年齢対象だったはずだから、待っているのは胸きゅん展開だろう。けど、今は現実だからヒロインが対象キャラを落としても続きがあるわけだから…。登場人物達が卒業まで変な気を起こしませんように!
男装してる私は当たり前だが男子寮。一人部屋なのが救いだ。ドアに空間移動の魔法をかける。普通の部屋には風呂がなく、共同の大浴場を使うらしい。そのため私は、寮のドアから、自宅の自室に移動出来るようにした。
いわゆる「どこ〇もドア〜(ダミ声)」というやつである。開発は私だ。魔法ってまじ便利!もちろん鍵では心許ないので、魔法で隔離する。絶音もできるので、大声で叫んでも安心だ。流石は異世界!防犯対策バッチリ!
そういえば明日は魔力測定か。父さんも母さんも測らせてくれなかったからな…なんか壊れるから触るなよって言われた。壊さないって言っても、規格外なのを理解してって叫ばれたな〜。私は少し魔力が多いだけなのに。明日が楽しみだなぁ。