5.腐った人達の餌にはなりたくないです
いやーとてつもないイケボでしたな。大好きな声優さんの声を間近で聞けて死ねるなら本望や。我が人生に一遍の悔いなし!
「大丈夫ですかー?まだ寿命残ってるよエルっちー。」
ゆっくりと目を開けると知らない天井...ではなく、青空だった。そしてエリーが呆れたようにこちらを見下ろしていた。
「急に鼻血出して倒れたかと思えば独り言言ってるし、意識失って数秒で目覚めるとかある意味凄いですね〜。」
「ううっ、後ろに倒れて頭打った。そうか私はまだ死んでないのか…じゃなくて!ヒロイン達は!?」
バッと効果音がつきそうな勢いで石碑から顔を覗かせる。ヒロイン達の方を見るとまだ進んでないのか、ヒロインが真っ赤な顔をしてワタワタしている。そんなヒロインを見て王子様はニコリと笑う。
「可愛らしいお方だ。素敵な歌だったよ。私は用事があるから失礼するね。君も新入生だろう?同じクラスになれるといいね。」
それだけ言い残し王子様は行ってしまった。残されたヒロインはうっとりとした表情でその後ろ姿を見おくっていた。
やっぱめちゃくちゃいい声だった。また鼻血が出そう。
「もう鼻血止まった?あの声優さんめっちゃ人気だもんね。紳士系の役が似合うからナイスチョイスだと思う。」
エリーは至って真面目な顔で私を見る。私もエリーに向けて真顔で頷き返す。
「ヒロイン...落ちたね〜。」
「うん。あんな紳士な扱いを受けて惚れない奴はいない。」
私がエリーの言葉に同意すると、凄く微妙な顔をされた。一体なんだ?
「なんかエルっちがそんなことを言うとBLとして見ればいいのか、ノーマルとして見ればいいのかわかんなくなってきた。」
「ノーマルで推しキャラは王子様と言うことで。腐った人達の餌にはなりたくないです。」
エリーが妙なことを聞いてきたので即返しましたよ。ええ、私心は女子なので餌にされたくないです。切実に。けど王子様は推します。確かヒロインを束縛しちゃうヤンデレさんだけど。