10.ここの空気がピンクになってきました。
「模擬戦は1対1のトーナメント制。対戦はこちらで決める。武器は1つのみ持ち込み可能だ。今回は1年だけで行う。来月にある体育大会を意識して頑張れよ。」
それでは解散という教師の声に合わせて皆が席から立つ。
それにしても武器はなんでもいいのか…
今の自分は相当悪い顔をしていると思う。だって自作でもいいんでしょ?前世の映画を思い出して作りたいのがあったんだよね。武器だったら程々の力が出せるだろうし。合法で人体じっ...、じゃなくて、新武器を試せるし、もし売るとしたらいい宣伝になるし、何より本当のランクがバレないし!いやー楽しみだなあ!
「今日ってイベントの日でしたよね。」
私はエリーと私の部屋で情報を交換していた。
今日は模擬戦を来週に控えた最後の休日だ。
「確かヒロインが1人で魔法の練習をしてた所で出会いイベントが始まるんでしたっけ。」
「ヒロインの幼馴染みでワンコ系攻略対象。場所は訓練場で、クラスの違う彼との感動の再開!的な感じだったよねー。ヒロインちゃんが魔力を発現させてから会ってなくて、最初からヒロインちゃんのことが好きなキャラだったよね。」
「今から行く?」と問いかけると「勿論!」と返ってくる。
エドワードのENDは最高だった。確かヒロインを守るために剣を練習して、めっちゃ強くなって、男爵家養女となったヒロインちゃんを実力で奪いに行くという別名騎士END。騎士なのにごりマッチョじゃなくて、細マッチョでイケメン。ワンコ系なのに紳士的で、プレイヤーからは忠剣と呼ばれていたほどだ。
そう、忠剣。忠実な騎士(剣)ということだ。決して忠実な犬と言うわけではない。はずだ....
「リリー!なんで王子様と会ったの!もしリリーが僕から離れたらどうなるかわかってる?もしリリーが他の男に色目を使ったりしたら...相手を殺しちゃうかもね?」
おかしいよおおお!なんかヤンデル。ヤンデレじゃないよ、ヤンデルよ!怖いよおお。
訓練場に来た時、最近考えた透明化の魔法を使ってスチルを取れる場所で待っていた。少ししてヒロインが来ると、あたりを見渡し、ある一点に向かって手を振った。そこに居たのはエドワードだった。まるで、エドワードが来ることを知っていたような感じだったが、ゲームにはなかったはずだ。
不思議に思いエリーと首を傾げていると、近くまで来たエドワードの最初の発言が先程のだった。
「もう、何言ってるのよ!前世から推しキャラはあなたよ。ただね、アルト様の声優が好きだったから少し魔が差しちゃった!てへっ。」
おっふ、あざっとー。ていうか前世言うとりますやん。なになに、この世界案外転生者多いの?
「そうか、あいつの声がいいんだったら声帯を切れば、もうリリーは見なくなるよね?」
「そんなことしたら捕まっちゃうでしょ!私にはあなただけで十分よ!」
いや、あざといんじゃない。惚気なんだ。うわー、もう二人の世界が出来上がっちゃってるよ。
「エルっち、もう帰りましょう?ここの空気がピンクになってきました。」
「うん、やばいよ。胸焼けしてきた。」
私とエリーは小声でやり取りをして帰りました。




