お出かけの日
異世界転生してから、俺はお出かけしたことがなかった。
正確に言うと、リンデレーネ家の領内から一歩も外に出たことがない。
しかし、今ファイブエイジャーなので、丸々五年領内で過ごしているが、前世で言うほぼ一つの県レベルで広いため、息苦しさは全く感じられない。
一方、今後の広がるワクワク展開(定番どころで言うと、ケモミミとかエルフとか、俺つええとか、実は俺の家系がすごいとか、、)が気になるので、領土の外に、特にこの世界の中心である「ケペキ王都」に行ってみたかった。
「ケペキ王都」の名の通り、この世界ではファンタジー世界らしく立憲君主制であり、ケペキ王国の首都が「ケペキ王都」である。どれくらいの国があるのかはまだわからないが、察するに本国が世界で最も広く、一番経済が発展しているようである。
つまり、一番でかくてすごい国の首都に行けば、なにか色々イベントも起こるだろうと、勝手に推察している。
そしてついに、その日がやってくる。
「母さん、今日は洗礼式だよね。王都いけるんだよね」
俺は目をキラキラさせながら、目の前の前世の母親(給食のおばちゃん)によく似たに言う。
「……そうだね〜、キリアちゃん。ついにこの日が来たんだね」
フィオナはどこか遠い目をしながら俺の頭を撫でる。そしてその口元は少々不気味に笑っていた。
これはあれだな、定番の「職業」がわかるやつだな。そしてまた能力を、水晶玉かなんかで図って、真の隠された力が見つかり「俺つええ展開」だ!
俺は鼻歌交じりのるんるん気分で、王都への行くための荷造りをしていた。
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けど、このとき気づかなかったんだ。
俺の背後には、バーヤが鞭のようなものを持ち、「逃げないように監視」をしていたような素振りをしていたこと。
母さんが時折、手をパキッと鳴らし、その手から稲妻のようなものを出して、何か力をチェックしていたこと。
それ以外にも、この領土内には「何故か男が一人もいないこと」に。