ステータスについて
「母さん、ただいま。今日は足の長いウサギを狩って食べたんだよ」
俺は裏山にある森に入り、時折でてくるよくわからない生き物を狩り、その場で焼き、食べてていたりという、とても貴族の家の子供とは思えない野性味溢れる生活をしていた。
「キリアちゃん、おかえりなさい。それは『アシハヤダケラビット』って言って、足だけが早いのが取り柄のH級魔物よ。もっと強い魔物倒してきたら褒めてあげるわよ」
「フィオナ様、5才児にそれはスパルタすぎるかと……むしろ、この年齢で魔物を狩ってくるなんて、天才だと思われます。もっと褒めてあげたらいかがでしょうか」
「ばーや、魔物との戦いは弱肉強食なのよ。そんな甘いこと言ってたら、この先やってけないわよ。それにあの裏山にはG級までしかいないから、生命の危機にはならないはずよ」
うまれてから5年、ようやく話せるようになったと思ったら、母さんは魔物の話になると人が変わるということがわかった。
「それにしてもフィオナ様はキリア様にどのような戦闘教育をしたのでしょうか」
「5才児に戦闘教育なんてするわけなじゃない。したいけど戦闘とかまだできないでしょ」
「いえ、でも現に魔物倒してますし……」
ここで俺、前世の記憶があるんだ! とか言えないよな〜。
ちなみにあの裏山にいる魔物は安全だということは事前に聞いている。大抵は草むらの中に隠れて、不意を付けば難なく倒せるものばかりだった。
「そうね、私が直々に戦闘訓練をつけましょう。久々なので、胸が高まるわ」
フィオナはその幅広い胸を大きく張る。
それを見たばーやは頭を抱えた。
「フィオナ様はおそらく経験のない方の教育に向いていないかと。騎士団にいた頃を思い出してください。あなたの教育というなの拷問に耐えられた人間はいなかったでしょう」
「さ、流石に5才児に本気は出さないわよ」
「それでも、考えるな、感じろ方式は、戦闘経験初心者には厳しいかと。……よければ私が教えますよ」
騎士団にいた頃……? 母さんは貴族にもかかわらずそのような経歴があったのか。
フィオナははっと顔を上げた。
「ばーやはもう戦闘しないのではなかったのですか」
「戦闘じゃなくて教育です。そして、これが最初で最後です」
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ばーやと裏山に行き、大きく周りが見渡せる開けた場所にきた。
「戦闘能力は基本的にはステータスによって決まります。キリア様は自身のステータスをご確認されたことはありますか?」
きたー! 待ちに待ったステータス確認ターン。
これで、転生者としてのチート能力が確認できるわけですな。
「ないけど、それってどういう風にやるの?」
実は今まで色々と試してみたものの、ステータスは確認できなかった。
もしや、この世界はステータスがない異世界系か〜と思っていたのだが違ったようだ。
ばーやはその言葉を聞いて、頭を抱えた。
「フィオナ様……まだステータス確認スキルも付与してなかったのですね」
「もしかして、ステータス確認って、人からスキルを貰う必要があるってこと?」
「そうです。それができる人は限らていますが」
ばーやは俺の額に手を当て、何かを念じている。
その瞬間、ばーやの手が青白く光った。
「これでステータスが見れるようになったはずです。見れるように念じてください」
「やってみるよ」
頭の中に文字が浮かんでくる。
期待だけが膨らみ、顔がニヤける。
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ステータス
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* 名前 キリア・リンデレーネ
* 種族 人間族
* 性別 男
* 年齢 5歳
* 職業 ニート
* レベル 1
- EXP 0/2
* 加護
- 童貞怨念の守り、村人の加護Lv1、変態神の加護
* 基本スキル
- HP 5/5
- MP 0/0
- 筋力 2
- 防御力 1
- 素早さ 3
- 魔法攻撃力 0
- 魔法抵抗力 0
* 特殊スキル
- スカートめくり
……これだけ?
もう一度確認してみる。
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ステータス
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* 名前 キリア・リンデレーネ
* 種族 人間族
* 性別 男
* 年齢 5歳
* 職業 ニート
* レベル 1
- EXP 0/2
* 加護
- 童貞怨念の守り、村人の加護Lv1、変態神の加護
* 基本スキル
- HP 5/5
- MP 0/0
- 筋力 2
- 防御力 1
- 素早さ 3
- 魔法攻撃力 0
- 魔法抵抗力 0
* 特殊スキル
- スカートめくり
なんじゃこりゃ〜〜〜!!!!!
なんだよ、この低スキル。あれだけコツコツと裏山の魔物狩りしたのに一つもLv上がっていない。
それだけならまだいい。
この加護スキルはなんだよ。村人の加護Lv1っていうのはわかるけど、
童貞怨念の守りって前世の嫌味かよ!
変態神の加護って、俺は変態じゃねぇ!
俺を護ってくれるのは、村人Lv1と童貞と変態だけなのか!?
てか、特殊スキル スカートめくりってなんだよ!
俺は精神年齢31歳+5だぞ! そんなの今どきの小学生でもやらんぞ!
つか、5才児に対して、職業 ニートっておかしいだろ……。
俺は地面に手を付く。
「終わった。俺の異世界生活」