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私にとってのハッピーエンドは  作者: 神崎 今宵
2/13

リコリス・クレールスは理解できない①




冷たい刃が喉元にあたり、そのあと耐えきれないほどの熱が私の首を奪う。

落ちていく過程で、見慣れた青が私を見ていて――私は、彼に、



「リース!」


「っ!…ここ、は、」



喉がからからに乾いていてうまく声が出ない。

私は先ほど、首を切られて死んだはずだ。なのにどうして、生きている。




「よかった、気が付いたんだね」


「お、とう、様…?」


「君が階段から落ちたと聞いたときは心臓が止まると思ったよ…エリーも、すぐにこちらに来るけど、痛いところはないかい?」


「お母様も、こちらに、?」


「一人娘が階段から落ちたんだ。当たり前じゃないか」




――一人娘。

お母様とお父様がいる。

部屋を見渡せば、そこは確かに、幼いころに過ごした私の部屋だ。そして目に入った鏡に映る私の姿。



「――時が、戻って、る?」


「?どうしたんだい、リース」


「っお父様!私は、今何歳ですか!」


「え、急にどうしたんだい、」


「教えてください!」


「何歳って…」


「私の愛娘は昨日4歳の誕生日を迎えたばかりよ」


「エリー」


「おかあ、さま、」


「ああ、リース、無事でよかったわ」



そういって私を抱きしめたお母様は、記憶の中にいるお母様と同じだった。

4歳。一人娘。8歳の時に天に召されたお母様と、お母様のいない寂しさを埋めるように私を顧みなくなったお父様。

――時が戻っている。私が散ったあの日から、10年以上も。





「どう、して、」





そうつぶやいた言葉に、答えてくれる人はいない。




久しぶりにリハビリを兼ねて書いてみました。

短い話がメインで更新も遅いかもしれませんが、どうぞお付き合いくださいますようお願いいたします。

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