8話 僕の勇気
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夢が階段から降りて僕の方へ向かって来た。
僕と夢の距離は大体1m20cmくらいだ。
僕が見上げる側に立って夢を見ると
正直なところ今の僕じゃ夢を完璧に表現する
ことができない。それほど神々しく見ただけで
魅了できるであろうその容姿に僕の心臓は
高まった。僕は完璧に近いよう夢を表現したいと
思う。表現できたなら、僕の執筆している
ヒロインが更に可愛ゆく(表現がキモいけど許して)
なるかもしれないからだ。夢の髪は、お母さん
譲りの金髪である。艶々な髪でで枝毛一本すらないのだ。これを説明しただけでも規格外なのは、
察してほしい。夢の肌は色白できめ細かやかな
肌をしている。金色の髪と白色の肌が合わさって
いるからなのか普通の人間だとは思えないほど
可愛い。昔の頃の夢はもっと童顔だったのに
対して今の夢は大人の女性と童顔が混ざった
ような顔立ちをしていた。僕が見ないうちに
すっかり美人さんになってしまっていた。
自然と夢の目に吸い寄せられてしまうのは、
当たり前のように感じた。
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出会ってしまった。遂に!遂に!遂にッ!。
私は早く謝って楽になりたい。10年間私を
縛ってきたこの呪縛(自己嫌悪)を解き放ちたい。
その思いと裏腹に翔を見て謝るのが恥ずかしく
なってしまった。なぜならこんなにも月日は
流れ、私は昔どのように喋り始めたのか、
どっちが最初に口を開いたのかその時の
記憶の一片が溢れ(こぼれ)落ちてしまったかの
ようだった。例えるなら、久しぶりに会った人と
喋るのに焦っている時と一緒な気がする。
翔をよく見ると昔と全然違っていた。
まず子供っぽさが無くなった。昔はオラオラした感じでみんなを引っ張っていくような行動を
していたのに、今の翔は優しいオーラを纏った
ような感じで誰に対しても優しく振る舞えるに
違いない。もう一つ違うところがある。それは
背丈だ。私より断然大きい。170㎝以上はあると
思う。昔の翔は私と同じくらいだったのに、
いつの間に成長しちゃったのかな。翔が成長する
過程を一緒に歩みたかった。しかし、その願望は
絶対に叶えられないだろう。どうやっても、
必死に足掻いても、人間は人間以上のことは、
できないのだ。そう思った途端私には珍しく、
素っ頓狂な疑問が舞い降りた。
"なぜ翔はここに来たのか"それを聞かずには
いられず翔の目を更に見据えるように見た。
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5秒くらいだろうかずっと見つめ合っていた気が
する。見つめ合って気づいたのだが、夢も僕と
同じくらい緊張していることがわかった。
なぜなら緊張する時には人間の顔は強張る(こわばる)からだ。重い重い空気から空気を読まない
一言がある女性から発せられた。
「まぁーまぁー、2人して見つめ合っちゃったり
して、お見合いじゃないんだから」そう、
夢のお母さん、佳子さんがとんでもない爆弾発言をしたのだ。僕と夢は同時に
「違いますよ!佳子さん!」
「違うよ!母さん!」
僕と夢は2人して赤くなったので、互いに顔を
反対に向くようにした。
「まぁーまぁー2人で赤くなって、
否定する時も一緒だなんて。うふふふふふ。」
完璧にからかってるだろう佳子さん。
「僕はそんなことより大事な話が…」
「あらそうだった!!夢行ってらっしゃい。」
「え?な、な、なに!」
佳子さんは夢の背中を押し玄関で靴をすぐに
履き替えさせた。夢と並んでみると、夢の身長は
155cmくらいかな。
「佳子さんありがとうございます。」
佳子さんはきっと家で僕が大事な話を話すと
緊張すると思って、あえて外に出して緊張を
解こうとしてくれているのだろう。
ありがとう佳子さん。
「別に気にしなくていいわよ。帰ってきたら
夢から色々と聞くから」
「穏便にお願いしますね。」
僕は苦笑しながら答えた。
そして、夢の手を強引に掴み玄関を出るの
だった。夢の顔は赤くとても可愛いかった。