第四章 テニス界の貴公子
「おばちゃん、おかわり!」
「はいはい、ちょっとまってね」
ここは、学食だ。
さすがは私立、と言う感じで、きれいで飯もうまい。
しっかし、よく食うね、このあほは。
これで、3杯目だ。
「そんなに食うと、あほが悪化するぞ」
「うめぇ〜!最高です!」
…聞いちゃいない。
「あ、そろそろ戻らないと」
そういえば、アキラもよく食うな〜。
俺が一番食べてない…キャライメージが…
「真介、おーい起きてー」
「んぁ?」
「もう授業はおわったよー」
アキラに起こされた。
どうやら、授業は終了したようだ。
英語の授業はやけに眠くなるものだ。
「みなさん、そうですよね?」
「真介、誰に言ってるの?」
一郎、二郎、三郎は野球経験が少しあるようで、
「俺たちは、」
「新技を練習するんだ」
「野球って、何だっけ?」
と、言っていた。
あのあほはと言うと…
授業中に菓子を食べて、説教中だ。
だめだこりゃ。
校庭の方を歩いていると、何やらテニスコートの方が騒がしい。
「行ってみよう!」
「うん」
アキラと真介は、テニスコートに向かった。
行ってみると、テニスコートの周りを大勢の人が囲んでいた。
まるで、バーゲンセールの時のオバサンみたいだ。
「すげー」
「何だ、あいつ」
みんなが騒いでるから、1人の男の人にきいてみた。
「どーしたんですか?」
男の人が答えた。
「いや、新しくテニス部に入るっていう1年が、いきなりキャプテンに勝負を挑んで余裕で勝っちまったんだ」
人の間を抜けて、テニスコートに入っていくと、1人の男がいた。
「キャプテンがこの程度とは。私が入るレベルじゃないな」
男が去っていく。
「まてー!」
すかさず真介が叫ぶ。
男が戻って来る。
「何かね、君は。私を呼び止めるとは、余程のことがあるのかね?」
そこで、2人は事情を話した。
「なーんだ、よしいいぞ。ただし、この私にテニスで勝ち、この私のレベルに合った美しい部なら入ろう」
真介は、すかさず言う。
「ちょっ、まてよ。お前にテニスで勝てるわけないだろ」
「それもそうだったな。よし、こうしよう。あなた方2人でかかってきて、先取した方が勝ちにしよう」
こうして、勝負が始まった。
2対1でも余裕で、あいつは球を打ち返している。
まるで、遊ばれているようだ。
「そろそろ、終わりにしよう」
バシィッ!
ものすごいボールがきた。
「うわっ」
2人とも追いつけなかった。
もう終わったと思った、次の瞬間!
ボールはノーバンで、コートの外で跳ねた。
試合終了。
「私としたことが、力を入れすぎてしまった。しょうがない。私こと、田中太郎があなた方のお力になろう」
「ぷっ」
2人は、声をそろえて笑った。
キャラと名前のギャップが面白すぎる。
「なっ、何を失礼な。人の名前で笑うとは、なんて未熟で、幼稚で、卑劣で、無礼な人達だろう」
こうして、きざっぺ田中が野球部に入った。
その夜…
「はぁー。疲れたし、風呂入って寝るかー」
ぷるるるるるる…
あほから電話だ。
「何だよ、こんな時間に」
「おお、真介。学校に持っていっていいお菓子と、だめなお菓子を教えてくれ」
だめだこりゃ…