第二章 韋駄天野郎
「これからはこのクラスでやっていく。仲良くするように。以上、号令!」
それにしても、いかにも体育教師であるような大きい先生だ。
声で、とても目が覚める。
こんな目覚ましがほしい…(あれば、遅刻が減る?だろう)
さっき決めた係で、アキラが号令になった。
アキラと同じクラスになって、少し嬉しい。でも…
「きょうつけ、礼」
キーン コーン カーン コーン…
チャイムの音が、なにかむなしい。
アキラと同じなのは嬉しいけど、野球部がない。
「どーしよーかなー」
「どーしたのー?」
アキラだ。この声を聞くといつも落ち着く。
中学時代、3番キャッチャーのこいつのバッティングとリードには、よく助けられた。
頭脳にも助けられたことがある。
テストの日、アキラが隣で…
この話はやめておこう。
「いや、俺また、野球やりたいんだけど、野球部がなくて…」
アキラは少し間をおいて、こう言った。
「また、一緒に野球やろう!野球部を一緒につくるんだ!」
「ややや、野球部をつくる〜!?」
俺は、漫画みたいな展開に、かなり動揺したようだ。
「え、でもアキラは吹奏に入るんじゃ…」
「いーんだよ!それより、チームの部員集めだ!!」
その時、俺は思った。
これ、何て言う漫画?
こうして、アキラと共に先生に言いに行ったところ、夏の大会までに、9人そろえば野球部は認められ、大会に出られることになった。
「だれを入れる?」
アキラの問いかけに、少し考えてから、真介はこう言った。
「そうだ、やっくんに言ってみよう!」
そして、放課後
真介と、アキラはやっくんに事情を話した。
「俺と、100m走で勝ったらいーぞ」
ところで、これ、なんて言う漫画?
今日は、雨が降ったので他の部活は休みで、静かな中、真介とやっくんはスタート地点に立った。
心臓の音が… こんなナレーションはいらなかった…
「よーい、スタート!」
アキラの声と共に、やっくんがとびだした。
やはり、速い。
やっくんがゴール目前で、真介はもうあきらめた。
その時!!!!!
雨でぐちゃぐちゃになった校庭の砂に足をとられ、やっくんがこけた。
「ははは、まぁ、わざとこけてあげたのだよ」
こうして、野球部にあほ(俊足)が加わった。