イリヤ編4 絆
目覚めたら隣にイリヤがいた。
「お兄ちゃん!大丈夫?」
「イ、リヤ……?」
もしかして、今までのことは全部夢だったのだろうか?
自分はさっきまで家で寝ていて異世界に飛ばされたなんて突飛な夢を視ていたのだろうか?
「お兄ちゃん、思い出したよ!お兄ちゃんが日記帳探してくれたおかげ。これにはね記憶保有の魔法がかかっているの」
「―――あ」
イリヤが胸に抱いているそれが、今までの証のように思えた。
記憶の奔流が押し寄せてきた。
「イリヤ!!僕が誰だかわかる?!」
「うん、貴方は私のお兄ちゃん。大好きなお兄ちゃんだよ」
何故か頬が熱い。
勇者は上半身を起こそうとして激しい痛みに襲われた。
「あ、だめだめ!お兄ちゃんは右足を骨折してるの。それに雨に濡れて熱があるから、まだ横になってなきゃだめだよ」
熱があるのか……。じゃあこのイリヤを見ると動悸が早くなるのも熱のせい?
「お帰り、僕のイリヤ……」
イリヤのひんやりとした手を額に感じながら、勇者の意識はゆっくりとまた闇に沈んでいった。
僕の義理の妹。
イリヤ。
初めて会ったときあまりの美しさにドキッとした。
イリヤは少女の頃から彫像のように整った顔立ちをしていた。
そのせいか、イリヤは常に男たちに囲まれていた。
近くにいても心は遠く離れている。
イリヤと僕には兄と妹くらいしかつながりがなかった。
でも、イリヤは年がたつにつれ僕に懐くようになった。
僕は男どもから疎まれるのが嫌で距離を置いていた。
そんな壁も軽々飛び越えて僕の心の中に入ってきたイリヤ。
僕もいつしかイリヤに執着するようになった。
僕のイリヤ。
ずっと僕と一緒にいて。
パチッと目が覚めた。
病室の誰もが僕に注目している。
「え……?お兄ちゃん……。今、なんて?」
「どうかした?イリヤ」
「ずっと一緒にいてって、……」
「!!」




