イリヤ編2 勇者様の意地
勇者を待ち受ける触手地獄!!
「僕を食べる気?!」
「はーい、心電図ね」
棺桶地獄!!
「ちょっとー、まだ死んでないのですが!!」
「МRIね」
吸血地獄!!
「貴方、その血を呪いに使うんですか?!」
「血液検査ね」
診察室に通され。
「ここの宿屋はおかしいと思います」
「何も異常はありませんね」
何も進歩していない、学習能力ゼロの勇者!!
「妹さんが呼んでるみたいなので、病室に行ってあげてください」
「行く行くー」
勇者は診察室に置いてある車椅子にドカッと座った。
「……あれ?何で皆、そんな氷のような瞳で僕を見るのですか?心が寒いです」
「健康なので歩いていきましょうね」
「ここの宿屋サービス悪いな」
勇者はぶつぶつ言いながら看護師さんの後に続いた。
そして、イリヤの姿を見つけると勇者は駆け寄った。
「そうだ!色々あって忘れてたけどイリヤ怪我してたんだった!!」
「忘れるって……お兄ちゃん酷いなぁ」
「ジョーク、ジョーク」
「あれ?何で私こんなところに居るんだっけ?ここどこ?」
「ん?今度はイリヤがジョークかい?」
「私、お兄ちゃんの帰りを家で待ってたはずなのに……なんでこんなとこころにいるの?」
「?イリヤは僕を追いかけてこっちの世界に来たんじゃないの?」
「……」
イリヤが虚ろな表情になった。
「……」
「イリヤ?」
「……」
反応もしない。
「……」
「……日記がない」
イリヤがポツリと言った。
「日記?」
「……貴方は誰ですか?」
「え?」
「私、イリヤと言います」
「知ってるよ?」
ふと、イリヤの手を見ると何かを握りしめている。
「イリヤ、ちょっとそれ見せて?」
「?」
イリヤが素直に紙を差し出す。
「えーと、」
お兄ちゃんがこれを読んでいるということは私の記憶が安定していないのでしょう。
私はお兄ちゃんに隠していることがあります。
それは私が異世界人とのハーフだから魔法を使うごとに記憶を忘れていくのです。
普段は日記で補っていますが、今や私の記憶は今日起きたことも忘れてしまうというくらい残されていません。
私は地震があってから日記がないことに気づきました。
もし、私の記憶が損なわれていたら日記を探してください。
それを読まないと、私はもう、イリヤとして振る舞えないのです。
「なん……で、何で隠してたんだ!!そんな大事なことを!!」
「……」
「僕、行ってくる!!」
勇者は走った。
病院を出てどこともわからないところをひたすら走り続けた。
走って。
走って。
走って。
やがて夜が明けた。
勇者の足はボロボロだった。
辺りは廃墟が並んでいた。
「違う。ここじゃない。どこへ行けば……」
「大丈夫ですか?ここら辺はもう非難が完了しています。貴方も……」
「あの、僕シュナイゼルって言います。病院に入院していたんですがそこに、落とし物をしちゃって……もう一度あそこに行きたいのですが」
「……それは、命よりも大切なものですか?」
「はい」
「わかりました、ここらへんで病院と言えば精神科しかないですからまずはそこに行ってみましょう」
そういうと救急隊員みたいな人は車を指差した。
「ありがとうございます!!」
目的の場所について、勇者は神に祈る思いだった。




