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白夜からの脱獄
僕は寝ながらこの世を見る。
弾ける炭酸の泡の一粒一粒に、夢を宿しながら僕は水子の様に彷徨い、そして殆ど泣きながら目覚める夜。
それはまるであの銀幕の俳優が魅せた、美しい走り方。
一つの可憐なる脱走劇に向かって、僕はこの世界から逃亡を試みる。
そして、それは一つの終焉へと収束し始める。
此の世のどんな愛も報われない様に、僕は走り始める。
壁が黙る。玄関が閉まる。
幼い頃の想い出が、彼女の肩先で反響する。
僕はこうして生まれたのだ。
悲観することはない。
僕には何もかもあるのだ。