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「何なんだよ⁉これええええええええー!!」
「知らないわよっ!!こっちが聞きたい!」
俺たちは只今、廊下を全力疾走中。
「廊下は走るな!」なんて書かれたポスターなんてクソくらえだ。
今、バカ正直に歩いたら後ろに居る奴らに確実に捕まる。
「俺ら何か悪いことしたか⁉」
必死に走りながら隣に居るあいつに話しかける。
「少なくとも真っ当に生きてる私は何も!!あんたが問題よ。」
「うっせーな。」なんて言う前に後ろから奴らが襲ってきた。
「ぐぁあぁぁ──!!!!!!!!!!!!!」
「「うわぁああああああああああ⁉」」
言い忘れたが───
俺と一緒に叫び声をあげながら走っている「あいつ」とは、おしとやかで皆の憧れの的の優等生であるはずの生徒会長様だ。
そして、後ろから奇声をあげ追いかけている「奴ら」とはゾンビゲームの化け物でもなければ謎の未確認生物でもない。どれも知っている顔である。何時間前までは呑気にお茶でも飲んでいた教師たちである。
最初は何かの冗談かと思った。しかし、言葉にできないような教師たちの物凄い形相を見た途端、
「これはやべぇー。」
そう思ったのである。まだ、
「おいっ!この点数はいったい何だ?ってコラ、待て!」
とか言われて追われるなら現実的だ。
「あなた・・・私以外の女とぉおお⁉」
見たいにヤンデレ気質の彼女に追われるのも、まだ分かる。
「僕と契約しろよぉおおおおお!!!」
と発狂した謎のセールスマンに追いかけられても今よりは信じられる。
あまりに非現実じみたこの事実。ただただ必死に走ることしかできないという現状だ。
「何でこんなことに…」
数時間前…そう放課後になるその前までは平凡だった。