第2話
この物語はフィクションです。
物語というものはどうやら突然やってくるものらしい。そして、それは主人公となる人が望んでも望まなくても勝手に始まって、主人公は無理にでもその物語を進めなければいけないみたいだ…。
私はあの死神と名乗る…いや、先程自身の目の前で起こったことを考えると「名乗る」ではなく「死神」と断定してしまった方がいいのかも知れない。まぁ、死神ではなくて他の妖怪だの悪魔だのそんな類のものかもしれないが、とにかく「人間ではない」少年、夜鬼が姿を消した後、私は今起こったことをまとめようと思い、死神と話していた橋を渡って、近くの河原に行った。
河原には人はいなかったから、落ち着いて考えることができた。でも、この考えをまとめた後に帰宅中だったはずなのに何故か学校に行ってしまったのを考えると落ち着いていなかったのかもしれない。まぁ、あんな出来事の後だから仕方ないだろう。決して私がもともと天然ボケだったりするわけでは無いということを理解して欲しい。(正直に言えば、過去にも帰宅中にコンビニに寄った後、学校に行ってしまったこともあるのだが…。)
河原で私が先程の出来事をまとめた結果だが、いや、まとめを試みた結果だが、案の定、全くわからず考えれば考える程混乱した。 「帰ろう…。」そう言って私は河原を後にした。この後、学校に行ってしまったのだが、それはもう忘れよう。…あれ?忘れていいのだろうか 。忘れたらまた繰り替えすのではないか?…心の底にしまっておこう。
私は、一人暮らしだ。住んでいる所は親戚のおばさんが経営しているアパート。家賃は払っていない。太っ腹なおばさんだ。体型も太っ腹だし。おっと、太っ腹で太っ腹な優しいおばさんが気にしていることは言うべきではないか。
一人暮らしをしている理由は、私が高校に入学してすぐに父が転勤することになり、私が引越したくないと言うと基本的に放任主義の…むしろ放置主義の両親は「じゃあ、一人暮らししなさい」と笑顔で言った。まぁ、その後、とんとん拍子に話は進み私は一人暮らしをすることになった。
日頃から家事は私の仕事だったので特に困ったことはなかった。むしろ、困ったのは両親だろう。母は家事が苦手だった。特に料理は凄かった。母はインスタントラーメンを作ることすらもできないのだから…。そんな母がもし今、料理をしているとすれば…父よ、頑張れ。
さて、家に着いたのだけど…どうしよう。期間は1ヶ月で、「生きている意味」を探す。
「確か、わからないこととか過去に行きたいときは笛を吹けばいいんだよね…」
私は夜鬼から受け取った笛をポケットから取り出し、恐る恐る吹いた。
(ぴ…ぴぃ〜…)
すると、突然笛が光り出した。眩しくて目をつぶる。
「お呼びですか?お嬢さん」
…なんか声が聞こえた…。ゆっくりと目を開ける私。目の前にスーツを着たスマートな兎がいるのを見つける私。一瞬間を置き叫ぶ私
「…なッ…キャッきゃぁぁあ?えぇえ!?」
お読みいただき有り難うございました。