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3 大地主と大魔女の娘

連続で さくさくと~

 


 最初の内、彼が何を言っているのかなんてさっぱり理解できなかった。

 普段おばあちゃんとは古語でやり取りしていたせいだ。

 公用語も一応は習得済みだったが、思考までもが古語といわれる言語よりの私には、いっかな彼の言葉は浸透してこなかったのだ。


 だからただ怯えた。


 その言葉の持つ響く余韻に苛立ちを感じ取って、狼が空腹で苛立つのと同じだと思った。


 現状に不満がある。


 彼の言葉の持つ響きは盛んにそう訴えていた。


 どうやらそれは私に起因するものらしい。


 ますますうろたえるしかなかった。


「おまえの祖母は生前、一度たりともまともに税金を納めた事が無いと村長から報告があった。大魔女の恩恵に預かる代わりに特例としてそうしていたのだな。だがこれからはそうもいかない。そもそもそれ自体、地主の俺には何の報告も無く、勝手にまかり通っていた事だ。おまえにも同じ事が言える。だからその分は働いて納めろ。言っている意味が解るな?」


 何とか頷いた。

 言っている事は解る。

 でも全く浸透してこない。それだけだ。

 彼がイライラしながらも、根気良く繰り返し言ってくるという事は理解せねばなるまい。

 その度に真似て、実際に言葉にして発した。


『魔女の娘、税金を納める、まだ、だから、その分、働く』


 何の呪文かと切り替えされてもおかしくない。

 何せ古語だから。


 古の言の葉。


 今の公用語に通じてこそいるが、今ではそれも薄らいでいる。

 何せその言葉自体が持つ威力があまりに色濃くて、わざわざ薄めるために今の言葉に訛らせた・・・・・(なま)らせたという逸話があるくらいだ。


 一応魔女としての知識としては基礎の基礎だ。


 それにかつての公用語は上流階級の間でも、教養知識として嗜んでいる人が少なからずいるらしい。

 その言葉によるかつての取引や、未だに暗黙裡の取引ごと等にそれらは暗号としてもってこいなのだ。


 一般人との境目を引くために、この言葉使いの習得は一種の身分の象徴でもある。


 要は上流階級でそれが許された生まれであるか、学者であるか―――魔女であるか。


 私自身馬鹿らしいとは思うものの、それもまた歴史の生み出した文化なのかもしれないとも感じている。



「大地主と大魔女の娘」 今語。


『大地主と大魔女の娘』 古語。


 ……って事で お願いします。 


(もうちょっと したら 詳しく説明出てきます)

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