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幸せの日々におきた不幸

()は心の声です。

「おぎゃー おぎゃー!」


「まあ、なんて可愛い女の子でしょう。」


「まったくだ。俺に似たにしては可愛すぎるな!」


「ふふ、じゃあ名前は――メイナなんてどうかしら?」


「うむ。強く優しく育ちそうな良い名前だ」


産婆は、ふたりの幸せそうな顔を見て言いにくそうに口を開いた。


「あ、あの……喜んでおられるところ申し訳ないんですが……」


「どうした?」


「その……大変可愛らしい男の子でございます」


「えぇぇぇぇぇ!?」


「ご、ごめんなさぁい!」


(やばい……この二人、元S級冒険者だって聞いたのに……怒られないよね!?)


しかし、ふたりはすぐに笑った。


「まあいいじゃない。可愛いものは可愛いんだから」


「あぁ、立派な俺たちの息子だ。それで十分だろう?」


「ありがとうございますっ……! (うわ、ふたりともメロメロなの隠しきれてない……)」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【そして時は流れ、メイナが三歳になる誕生日――】


「えいっ! はっ! とうっ!」


小さな体で剣を振るメイナ。その姿はあどけないが、瞳だけは強く輝いていた。


「メイナさん、そんな力任せではダメですよ? ほら、こう返されてしまうのです」


キンッ!


「わぁっ、また負けたぁ!」


「ふふっ。まだまだですね。でも素質は本物ですよ」


普段は鬼のように厳しい師匠だが、メイナの才能には内心驚いていた。


(この子……三歳でここまで動けるなんて……)


少し離れたところで、両親がこっそり見ている。


「相変わらず鬼ね、あの人」


「だが、あれが信頼の証だ。……っと、今のうちに誕生日の準備を――」


その瞬間、空気が歪んだ。


「ぐっ……がはっ!」


師匠のうめき声。


(……え? なんで? 今の声……)


「師匠ぉぉぉぉぉ!」


駆け寄ったメイナの目に映ったのは、血を流して倒れる師匠と、黒ずくめの四人組。


「はっ、バカだな。弟子を守ろうとして死ぬとか」


「めっちゃウケるんだけど〜」


「そんじゃ、親も処理するか。政府の指令だろ?」


「元S級冒険者で政府の秘密を知ってるらしいからな。平民に落ちたとはいえ消しとけってさ」


「俺たちは現SSS級パーティー『チートタイガー』だ。無駄な抵抗はすんなよ?」


黒ずくめは嘲笑うように名乗った。


メイナの父の顔が青ざめた。


「チートタイガー……! 政府直属の排除班……!」


「父さん! 母さん! だめ、死なないでっ!」


「いいから……逃げろ、メイナ……」


「お前だけは……生きて……っ」


(いやだ……いやだいやだいやだ!

なんで……なんで誕生日に……

なんで俺だけ……逃げなくちゃいけないんだ……!)


「――父さん母さん、ごめんっ!」


涙を振り切って走った瞬間。


〈スキル発動条件を確認。対象者、強制覚醒状態。スキルを発動しますか?〉


「なんでもいい!! 助けてよ!!

こんなところで死ねない!

絶対に……絶対に……復讐してやるっ!」


〈ステータス 鑑定・テイム・剣士・魔術師・転移……全スキルレベルMAX。

転移スキルを発動し、最適地点――“魔王が潜む最深部ダンジョン”へ移送します〉


「……は? 俺、魔王んとこに飛ばされるの?

ははっ……そんなのもうどうでもいい。

力が手に入るなら、魔王だって利用して政府をぶっ壊してやる――!」


そう呟いた瞬間、世界が黒に溶け、少年は深淵へ落ちていった。

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