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2 初ダンジョン-1

 俺は恐る恐る壁を頼りにダンジョン内へと進んでいく。


 ゴゴゴゴゴゴゴ...


 ダンジョンの扉が閉まる音だ。その音と同時にダンジョン内はに光が遮断され、完全に暗闇に包まれてしまった。

 もちろん俺の不安は高まる一方だ。


 何も見えない状況でひたすら壁を触りながら歩いていく。明かりなんて持ってない俺には進む手段がこれしかないのだ。


 そうしてずっと壁を頼りに歩いていると、壁が急になくなった。曲がり角だろうか。

 だが曲がって壁を探しても壁はない。俺は壁がなくなって心細い気持ちになる。


 (壁...壁...)

 ずっと壁を探しているうちに気づいた。これは曲がり角ではなく、部屋だということに。

 部屋だとしても、何の部屋なのだろうか。そこだけが疑問点だ。


 一方向に歩き続けていると、部屋の壁にたどり着いた。そして俺は引き続き壁に沿って歩いていく。


 するとその時、足で何かを踏んだ感覚に見舞われた。


 ギーー...ゴゴゴゴゴゴゴ...


 何かのスイッチを押してしまったのかもしれない。

 少なくともヤバいスイッチという事は感が鈍い俺でも分かった。


 ドタンッ!


 何かが上から降ってくる音だ。


 ダン...ダン...ダン...


 何かがこっちに近づいてくる。

 (頼む、来るな、来るな!)

 心の底から願った。でも運命は変わらなかった。

 周りが急に明るくなった。


 明るくなった部屋の中で俺の前には機械の様なものが立っていた。

 多分だが高さだけでも3mはあると思う。


 そんな考察をしているうちにも相手は攻撃を仕掛けてくる。カクカクとした機械独特の動きで腕を振り下ろしてきた。


 ドゴーーーーンッ!!


 一瞬にして地面の石が粉々になってしまった。

 こんなの直で受けたら...そんなの考えるまでもない。

 この時の俺の足は使い物にならないくらいに震えていた。


 俺が攻撃しなくても相手はどんどん容赦なく攻撃を仕掛けてくる。


 ドゴーーーーン!

 ドゴーーーーン!


 俺はビビりながらも勇気を振り絞って剣を振り下ろしてみる。


 カキーン!


 剣が弾き返された。この機械の様なモンスターが硬すぎたのが原因だろう。

 だけど俺の攻撃方法はこれしかない。何か他の策を練らなければならない。


 機械からの攻撃をひたすら避けながら頭の中で考えを巡らせようとする。

 でも震えた足で小走りでやっとな俺にはそんな暇はなかった。


 避ける、避ける、避ける。

 それしかアクションを起こさない。いや、起こせない。


 俺の体力が削られていくのにつれて、壁や床もボロボロになっていく。周りにはがれきが酷いほど散らばっている。


 そんな状況を見て俺の震えは治ることはなく、むしろ悪化していっている。


 駄目だ...このままじゃ駄目だ...殺される。

 脳内で嫌な妄想が飛び交う中、俺の視線にとあるものが映った。


 『あれだ!』

 機械の真ん中あたりに赤い何かが見えた。

 俺は冴えていたのか分からないが、それが弱点だということが分かった。


 となればあとはそれを攻撃するだけだ。

 だがそんなに単純にいかないのがこの世だ。

 剣を刺そうにも、あの赤いモノの周りにはあばら骨の様な構造をした金属が邪魔していたのだ。


 骨の様な構造なため、小さな隙間はあるものの、動いている機械相手に、そんな小さな弱点を上手く突けるだろうか。


 (駄目だ...これこそ駄目だ...

 おい俺、今はやるしかないだろ!)


 『喰らえ!』


 カキーン!


 案の定跳ね返された。でもこんなことは想定内だ。

 俺は二発、三発と剣をどんどん振った。


 カキーン!カキーン!カキーン!...


 剣が弾かれる音が何度も響く中、ある瞬間、ひとつだけ違う音が響いた。


 グサっ!


 「キノウ、テイシ。コアガハカイサレマシタ。」


 ドゴーーーーン!


 何とかコアに直撃させることができた。

 もう少しで体力が尽きて死を迎えてしまうところだった。


 安心した俺は機械の中から何か明かりになるものはないかと必死に探す。そうするとコアが光っていることに気がついた。それを見てすぐにコアを拾い上げた。コアの光は周りを照らすのには十分な光量だった。


 『よし』


 俺は心の中で密かにガッツポーズを浮かべた。機械を倒したことが嬉しいのではなく、どちらかというと命の危機を回避したことが嬉しいのである。


 そうして無事戦闘を終えた俺は光を手にしてダンジョンの先へと進んでいった。


 やっぱり壁を頼りにするのと光があるのでは探索効率は雲泥の差である。光があると快適に探索をすることが出来る。


 だが問題はここからだ。光があってもダンジョンは迷路の様に入り組んだ形をしているため、光はただの「目で見える」という安心のための道具にしかならない。


 やはりその考えは合っていた。何分、何十分進んでも見える景色は通路だけ。何の部屋にすら辿り着かない。次の階層への階段を見つけるのなんて言ってしまえばほぼ運だ。


 でも俺の運は良かったのだ。


 何故なら、『階段』を見つけたからだ。

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