17.ギルドに行って冒険をしよう
ファンタジーコミューンは、いわゆるRPGのようなファンタジーと、テーマパークを
融合したような施設が多いコミューンらしい。
「これは確かに歩き回るのは楽しそうだ」
私はさっそくこのファンタジーコミューンを堪能すべく散策を開始した。
店に入るとシティコミューンとは明らかに毛色の違う商品に圧倒されてしまった。
その方向性は、やはりどこかファンタジー作品を思わせる品揃えである。
そして特に多いのはアクセサリーの数々だった。
アクセサリーとは、完全に性能とは切り離された装飾品で結構自由に付けることが出来る。
それっぽいものを位置調節して、好きなキャラクターを再現するなんて遊びができるとはきいていたがここからの遊び方なのかもしれない。
なるほどこれなら確かに色々と出来そうだった。
うーむ、新入りにぴったりそうなアクセサリーも沢山あるぞ?
このやたらデカい鎖と山賊風衣裳なんてどうだろう? モヒカンとよく合う。
早速購入。
出来上がった新機体、ブロッコリーは……。
「……大丈夫かなこれ?」
私は少し心配になってしまった。
うん。圧はあるね。気の弱い人なら逃げるかもしれなかった。
私は頼もしい仲間の誕生をささやかながら祝福した。
しかし、やはり資金が沢山あるって素晴らしい。この間のショーイベントは私に初心者離れした、潤沢な地金をもたらしてくれた。
オンラインイベントはただのイベントと違って、遠慮なく資金を得ることが出来るようだ。
それは、場合によってはバランスブレイカーになりうる事だが、難易度の調整は好みで行えた方が個人的には好きだった。
私は高めのモチベーションで道行く人に話しかけ、情報収集に励むとすぐに重要情報を聞くことに成功した。
「このコミューンではギルドに登録することでいろんなクエストを受けられるよ。Aペットクリエイターさんの活躍はここではなくてはならないものなのさ」
へーギルドとかは初めて聞いた、なんかとてもゲームっぽい。
とするとやはり定番は、クエストを受注してこなしていくスタイルか。
私はさっそくギルドとやらを探してみる。
ギルドの建物は、恐ろしく巨大な樹木の中を切り抜いて作ったような外観で、見た目から早速わくわくさせてくれた。
「ようこそ。こちらはファンタジーギルドです」
私を迎えたのはAペットらしい。
だがその衣裳はファンタジー的な受付嬢風で、RPG的冒険の始まりを予感させた。
「大きな掲示板に沢山張られた依頼書をはがして、窓口に持ってきていただければ正式に依頼を受注したことになります。複数クエストを受けることも出来ますが、日にちが経つとクエスト失敗になりますのでご注意ください」
簡単な注意事項を聞いて、ならばと私は掲示板で一枚を取り、受付カウンターに持ってゆく。
「このクエストを受けますか?」
イエス。
「『アキバエリアにて、プレゼントを選んできてほしい』を受諾しますか?」
ん? 今なんて言った?
アキバとな?
聞き間違いかと思ったが間違ってはいないようだ。
ファンタジーコミューン。なるほど……こいつは奥が深い。
ちなみに私は本物のアキバに行ったことはない人だった。
おでん缶とか売ってるのかな?とかは考えてしまう私は、きっと妙な憧れをアキバに持っている気がした。