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「ではでは!皆の紹介が終わったところで!これから皆が住む家に向かいまーす!」
天使に案内された俺達が目にしたのは、とんでもない豪邸だった。
「ねえカヨくん、おっきい家だねえ……!」
「ああ……」
「12人で住むお家ですからね!お部屋がいっぱい無いと!」
「馬鹿天使、一人もう死んでるだろ」
「……あっ、そうでした!11人で住むお家、でしたね!」
いや待て。サラッと言いやがったが11人?今の俺達は9人だ。まさかこの天使と悪魔も一緒に住みやがるって言うのか……?
「はいそーです!あたしたちも一緒に住むお家なんですよ!サガミさんに頑張って作ってもらいました!」
「……中まで作るのには骨が折れた。もう二度と家は作らないからな」
そんな話をしながら俺達は豪邸へと足を踏み入れる。しかし、一人……オーミが足を止めた。
「な、何やねんこの家……」
「オーミ、どしたんー?」
隣を歩いていたレインも足を止める。
「こ、これ……ボクの家そっくりやんか……」
「「えっ!?」」
思わず全員がオーミの方を振り返る。
「さっきまで忘れとったけど、家見て思い出したわ……。ボク、この家に住んどった。そっくりってレベルやない。ホンマに、このまんまの家や……」
「……私も、何となくこの家に見覚えがある気がします」
「イガラシちゃんも!?」
「イガラシくんです。……多分、この家の近くに住んでいたのでは無いかと。詳しくは、思い出せませんが……」
そう言われれば、この家には何となく見覚えがある気がする。表札にあった名前、何だっただろうか。……流石にそこまでは思い出せない。
「……はあ。めんどくさ……。さっさと入って休憩したいのにうざっ……」
「ん?何か言いたいことがあるのかい?」
「は、はあ……!?なんでもないし……」
「おーい!彼女はさっさと中に入って休みたいようだよ!」
「……!よ、余計なこと言うなし……!ほんと空気読めないなこの女……」
ガラスに言われ、取り敢えず中に入ることにする。そうだな。ここで悩んでいても答えは出ないだろうし。
「それに彼らは先に行ったからね」
そう言って彼女が指す先にはユズ、バケツ、イオリが先行していた。……ユズに至ってはさっきまで俺の後ろに居たはずなのに。いつの間に。
「おっきいお家、楽しみだね!」
「オレっちは寝られりゃそれで良いかなァ。それよりバケっち、その頭じゃ寝づらくないかィ?」
「問題無い。今までこれで生活してきた」
「おおう、なかなかハードな人生だねィ」
「えー、かわいいよ?あたしは好き!」
「……?可愛い、か……?」
「うん!かわいい!」
「ふうん……そういうものなのか」
な、何か仲良くなってないか?どんだけコミュニケーション能力高いんだよ。
「ちょっと……!お前、あのままじゃあの子取られるぞ……!」
クイクイと俺の袖を引っ張るのはヒメコ。
「いや、単にコミュ力高いだけだろアレは」
「お前は分かってない……ああいうあざとい女がモテるんだ……!そしてあの女の奪い合いが起きて、チームが乱れるんだよ……!ああいう女が輪を乱すんだ……!」
「あーはいはい」
ヒメコの妄言を適当に聞き流す。それにユズはあざとくない、ただ素直なだけだと思う。
「第一俺は生き返る気無いんだから」
「さっきも言ってたけどさ……お前、それ本気で言ってんの……?」
「ああ、俺は死にたくて死んだ。だから生き返る意味が無い」
「……そう。じゃあコイツじゃ無理ってことか……」
そう呟いて、ヒメコは俺から離れていった。生き返る気がない奴と仲良くなっても無駄って判断したってことだろう。別に傷つきはしない。これはそういうゲームだ。