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男と女のラブですゲーム  作者: 有氏ゆず
第二話 ルームシェアをするようです
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2-1




男と女のラブです♡ゲーム!

ルール説明

・メンバー内で恋愛すること

・カップルになった二人が生き返れる

・天使の機嫌を損ねると死にます




「……天使、ひとつ聞いていいか」


イオリのおかげでひとまずパニックは収まった。当の本人は名乗った後またすぐに眠ってしまったが。

なのでこのタイミングで聞かせてもらう。


「どうしたんです?質問ってことです?」

「ああ。生き返りたくない場合はどうすればいい」


その場の全員がぎょっとした顔をこちらに向ける。




「えっと、それはゲームを放棄したいってことですか?」

「そういうことだ」

「な、何言ってるの!だめだよそんなの……!」


ユズが俺の手を引っ張る。


「せや。何でそないなこと言うんや。生き返りたくないなんて……」

「ふむ。彼には何か理由がありそうだね?」









「……俺は、自殺したから」









その場が静まり返った。


当然だろう。そんなことを言われて反応できる奴の方がおかしい。


「あっ、放棄したいなら出来ますよ。あちらの底なし穴に飛び込んで貰ったら大丈夫です!そうすればあなたの魂は完全に死を迎えますので!」


そう言って天使はにっこりと微笑み、指差す。その先には《底なし穴》と書かれた看板が立ててあった。……成程。分かりやすい。俺は黙ってそちらに歩みを進めようとする……が、ユズに止められた。


「だめ。そんなのだめだよ……」

「ユズ、俺は生き返る気が無いんだ。だから俺がここに居ても、ゲームの邪魔になるだけだろ?」

「そ、そんなことないもん……あたし、カヨくんに救われたもん……」

「それにカップルにならないと駄目なんだろう?今いる男は5人、女は4人。どう考えても一人余るんだ。だったら俺がここで消えた方が都合がいい」

「……!そんなことない……!ねえ、皆、そんなこと思ってないよね……!?」


縋るような目を全員に向けるユズ。しかしその問いかけに応えるものはいない。


「何で……なんで、誰も何も言ってくれないの……」


当然だ。他のメンバーからしても俺が消えた方が都合がいいんだ。




「……そういうことだから。俺は自ら死を選んだんだ。だから生き返る気は無い」

「や、やだ……そんなのやだよ……」


弱々しく握られたユズの手を、そっと振りほどく。


「……じゃあな」


そしてユズを力いっぱい突き飛ばし、そのまま《底なし穴》に向かって走る。

彼女には悪いことをした。怪我をさせたかもしれない。だけど、止められない為に、わざと強く突き飛ばしたんだ。


「やだ!待って!誰か!誰か止めてよぉ!!」


ユズが泣き叫ぶ。ごめん。ごめん。優しいお前に辛い思いさせてごめん。

そしてその勢いのまま、俺は《底なし穴》に飛び込────────






「やめときなァ」


──────むことは出来なかった。


「……っ!イオリ……」

「お前さん、あの子にトラウマ背負わせる気かよォ。酷い男だねィ」


飛び込もうとした瞬間、物凄い力で後ろに引っ張られたのだ。

そして俺を止めた男はにやけ面で、呆気に取られる俺を覗き込むのであった。……不快だ。





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