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男と女のラブです♡ゲーム!
ルール説明
・メンバー内で恋愛すること
・カップルになった二人が生き返れる
・天使の機嫌を損ねると死にます
「……天使、ひとつ聞いていいか」
イオリのおかげでひとまずパニックは収まった。当の本人は名乗った後またすぐに眠ってしまったが。
なのでこのタイミングで聞かせてもらう。
「どうしたんです?質問ってことです?」
「ああ。生き返りたくない場合はどうすればいい」
その場の全員がぎょっとした顔をこちらに向ける。
「えっと、それはゲームを放棄したいってことですか?」
「そういうことだ」
「な、何言ってるの!だめだよそんなの……!」
ユズが俺の手を引っ張る。
「せや。何でそないなこと言うんや。生き返りたくないなんて……」
「ふむ。彼には何か理由がありそうだね?」
「……俺は、自殺したから」
その場が静まり返った。
当然だろう。そんなことを言われて反応できる奴の方がおかしい。
「あっ、放棄したいなら出来ますよ。あちらの底なし穴に飛び込んで貰ったら大丈夫です!そうすればあなたの魂は完全に死を迎えますので!」
そう言って天使はにっこりと微笑み、指差す。その先には《底なし穴》と書かれた看板が立ててあった。……成程。分かりやすい。俺は黙ってそちらに歩みを進めようとする……が、ユズに止められた。
「だめ。そんなのだめだよ……」
「ユズ、俺は生き返る気が無いんだ。だから俺がここに居ても、ゲームの邪魔になるだけだろ?」
「そ、そんなことないもん……あたし、カヨくんに救われたもん……」
「それにカップルにならないと駄目なんだろう?今いる男は5人、女は4人。どう考えても一人余るんだ。だったら俺がここで消えた方が都合がいい」
「……!そんなことない……!ねえ、皆、そんなこと思ってないよね……!?」
縋るような目を全員に向けるユズ。しかしその問いかけに応えるものはいない。
「何で……なんで、誰も何も言ってくれないの……」
当然だ。他のメンバーからしても俺が消えた方が都合がいいんだ。
「……そういうことだから。俺は自ら死を選んだんだ。だから生き返る気は無い」
「や、やだ……そんなのやだよ……」
弱々しく握られたユズの手を、そっと振りほどく。
「……じゃあな」
そしてユズを力いっぱい突き飛ばし、そのまま《底なし穴》に向かって走る。
彼女には悪いことをした。怪我をさせたかもしれない。だけど、止められない為に、わざと強く突き飛ばしたんだ。
「やだ!待って!誰か!誰か止めてよぉ!!」
ユズが泣き叫ぶ。ごめん。ごめん。優しいお前に辛い思いさせてごめん。
そしてその勢いのまま、俺は《底なし穴》に飛び込────────
「やめときなァ」
──────むことは出来なかった。
「……っ!イオリ……」
「お前さん、あの子にトラウマ背負わせる気かよォ。酷い男だねィ」
飛び込もうとした瞬間、物凄い力で後ろに引っ張られたのだ。
そして俺を止めた男はにやけ面で、呆気に取られる俺を覗き込むのであった。……不快だ。