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「はいはーい!うちの自己紹介も聞いてほしーです!」
そう言って名乗りを上げたのはどう見てもギャル。黒ギャルってやつだろうか。しかも金髪だ。
「うちはレイン!由来はぁー、確かうちの名前がレインだった気がするからでーす!」
……うん。アホっぽい。これはこれでめんどくさいタイプかもしれない。
「ほらほらー、次は青のおにーさんの番だしー!名乗っちゃってー!みたいなー?」
「ん?オレっちのことかィ?」
黒ギャルレインにつつかれて、先程まで眠っていた男が目を覚ます。しかしこの状況でよく眠れるな。マイペースというかなんというか。
「名乗っちゃってーって言われてもなァ……オレっち、記憶が無くなっちゃってんのさァ」
「それは俺達皆がそうだ。だからとりあえず仮の名前をつけて配られた名札に書いてる。アンタも持ってるだろ」
「おお、悪ィ悪ィ。じゃあてけとーに考えっから先に自己紹介しててくれィ」
やっぱり聞いてなかったのか。どんだけマイペースなんだか。
「じゃあその隣の赤い人!よろしくだしー!」
「ん?私かな?私はそうだね……ガラスちゃんとでも呼んでくれたまえよ」
ガラス?また変な名前だな。まあ本人がそう呼べと言うならそれでいいだろう。
「ガラスちゃんもめっちゃ別嬪さんやなあ」
「あなた、誰でも良いんですね」
「勿論本命はイガラシちゃんやで!」
「イガラシくんですけど」
「ねーねー、名前の由来はどーなん?」
夫婦漫才(と言ったらイガラシがキレそうだ)を繰り広げている二人を無視し、レインがガラスに聞く。
「ふむ。由来なんて考えてなかったな。パッと頭に思いついた言葉がこれだったんだ」
「へー、めっちゃいい名前じゃん!うち好きだわー」