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「……レインさん、私そういう冗談はあまり好きじゃないな」
九人しか居ない空間で同性愛者が二人も存在するなんて、そんな偶然は滅多にあることじゃない。私が否定すると彼女は私の手を握ってきた。
「うち、思い出したの。全部じゃないけど、生きてた時のこと」
その目は真剣だ。……ふざけているようには見えない。
「……まさか、君と私は生前関わりがあった……と?」
「本当に何も思い出せないの?しょーこ……!」
"しょーこ"
「……っ!!」
何か思い出そうとすると、頭が痛んでそれの邪魔をした。
確かに私は、誰かにそう呼ばれていた記憶がある。だけどそれ以上は思い出せないようだ。
「だ、大丈夫なの……?」
ユズさんが心配そうな目でこちらを見てくる。
「顔色が悪いな。一旦、休んだ方がいいんでないかィ?」
「いや、だいじょ……」
大丈夫だ、と言おうとしたがぐらりと世界が揺れる。立っていられない。
「……!!しょーこ、顔色ヤバいよ!休も!?」
倒れそうになったがレインさんが支えてくれたので助かった。だけど頭が痛くて気持ちが悪い。横になった方が良いかもしれない。
「すまない……部屋で休ませてもらうことにするよ……」
「その方が良いって!うち、ついてくから!」
私はレインさんに支えて貰いながら自分の部屋に戻ることにした。




