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なら、今すぐにでも行動だ。
天使のところに行って、「恋人になった」と宣言してやればいい。
「……あ、他の子らには言わんでええの?」
「別に言わなくても良いだろ。色々聞かれてボロが出るのも嫌だし」
それに会ったばかりの連中だ。それほど仲良くも無い奴の付き合った報告なんて要らないだろう。
「せやな。ほな行こか」
「……でもお前が乗ってくれるのは意外だった。てっきりあの白い奴が好きなのかと」
「んー、イガラシちゃんは目の保養って感じやし。それにボクかて生き返りたいんやから、恋愛感情よりも確実に生き返れる方選ぶわ」
それは、アタシはお前の恋愛相手にはなり得ないという侮辱か。……まあいい。アタシだってコイツを利用してるんだ。生き返れるんなら何だって良いさ。
「……てなワケでボクら恋人になりましたー!」
アタシと手を繋ぎ、やたらとテンション高く天使に報告する関西人。手を繋いでいるのは一応、恋人アピールの為だ。
「えっ!?こんな短時間で恋人になっちゃったんですか!?」
天使は驚いたのか目を丸くしている。しまった。少し早く行動し過ぎたか。もうちょっと日にちが経ってからの方が良かったかもしれない。今、何月何日かも知らないが。
「一目見た時からビビっと来てん!めっちゃボクの好みやったんよ!それで口説きまくったらヒメコちゃんもボクのこと好きになってくれてたんや!」
「お、おう。まあ、そんな感じだ……」
よくもまあ次から次へと口からでまかせが出てくるものだ。アタシだけではボロが出ていたかもしれないから助かるが。
……天使は暫くの間、じーっとアタシたちを見ていた。さあ、どう来る。
「……そうだったんですね〜!一目惚れなんてロマンチックです!」
……よし、信じた!
しかしこんな付け焼き刃の恋人の振りでよく騙せたものだ。案外、天使はチョロいのかもしれない。
「じ、じゃあ……アタシたち、生き返れるのか?」
「はい!カップルになったら生き返れるってゲームなので!」
「やったあ!ヒメコちゃん、生き返れるで!」
思わず関西人とハイタッチをする。ああ、こんなに簡単に生き返れるっていうのに、こんな簡単なことも思いつかない他の奴らは何て馬鹿なんだろう───────
「あなた、嘘つきですね」




