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屍術医師 レインフォルト 上  作者: 御蛇村 喬
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第九幕 上質な紅茶の一時

ただひたすらにクレアが紅茶を飲む!

以上!!

 邸内に招き入れられた私達はあの男装の麗人と別れ、応接室で椅子に掛けてこの屋敷の主を待っていた。

 

 ノックの音に団長が応じると、ドアが開き、執事を先頭に先程の侍女とまた別の侍女を伴って入ってくる。


 彼女達の持つトレイの上には豪奢なティーセットと、高級そうな菓子が載っている。


 一人の侍女が断りを入れてティーカップを私達の前に置き、すぐにもう一人がティーポットから紅茶を注いでいく。


 いずれも丁寧で且つ洗練された所作だ。


 様々な菓子も並べられテーブルの上を華やかに彩っていく。


 ティーカップの中を覗くと、鮮やかで冴えた色、そして縁に架かる金色の環、立ち昇る馥郁たる香りが鼻腔をくすぐる。


 私は香りだけでうっとりとしてしまう。


 よい茶葉だ、この上無い程に。


 カップも見事な意匠で、白い地に金細工で季節の草花の茎や葉を表し、色とりどりの季節に合わせた花が咲き乱れているその様は生の喜びを感じさせる。

 正に職人が魂を込めて作った逸品と言える。


 私はゆっくりとカップを口元へと運び、静かにそのえもいわれぬ芳香を放つ液体を口に含む


 雑味のない清らかな……それでいてしっかりとした風味とおくゆかしい仄かな甘みが幸せとなって口の中を満たす。

 嚥下するのが惜しいとすら感じるが、いつの間にかそれは清涼な後味だけを残して消えていた。


 私はため息を漏らした。


 こんなに幸せな時を過ごしたのはいつぶりだろう……


 一口目の余韻に浸っていると、静かにドアが開き、人影が入室してくる。


「その様子だと楽しんでくれてるようだね」


 そう口にして微笑んだのはあの男装の麗人だった。

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